大谷の前に“らしさ”消えた韓国 打線沈黙の理由を読み解く
大谷の前に2三振を喫したキム・ヒョンス 【Getty Images】
試合後、普段ならどんな試合内容でもメディア対応をする韓国の選手たちが、この日はほとんどが無言のまま球場を去った。しかし、うつむいている者はいない。視線をしっかりと前に向け、「どうやったら大谷を攻略できたのか?」と考え続けているかのような、真剣なまなざしだった。
3番打者相手にギアを入れ替えた大谷
大谷はチョン・グンウには3打席とも1ストライク後にスライダーを投げ、チョン・グンウはその軌道に翻弄(ほんろう)された。「スライダーは思っていたより曲がってきた」。チョン・グンウはストレートとフォーク以上にスライダーを強く意識させられ、最終的にストレートとフォークで抑えられた。
チョン・グンウを抑えた大谷は、続く3番のキム・ヒョンスを迎えると、完全にギアを入れ替えた。1打席目の2球目にこの日最速の161キロ、2打席目の初球には160キロをマーク。ストレートで押し最後はフォークという組み立てで、大谷はキム・ヒョンスとの3度の対戦で2つの三振を奪った。
本来キム・ヒョンスはバットにボールを当てる技術(コンタクト能力)が高く、三振が少ないバッターだ。この5年間では9.3打席に1度しか三振がなく、KBOリーグで三振の頻度が最も低い選手である。そのキム・ヒョンスは試合後、選手を待つ記者の前を通り過ぎた後、振り返って、「何で待っているんですか、きょうは聞くことも話すこともないでしょう?」と問いかけ、バスに乗り込んだ。相手の実力を認めざるを得ない完敗だった。