「大谷君が一番成長したところが出ていた」 ロッテ・井口が日本vs.韓国を解説
「シーズン以上に良かった」と井口も絶賛した先発・大谷 【写真は共同】
今回、スポーツナビではアトランタ五輪日本代表で銀メダル、米大リーグでワールドシリーズ制覇と世界を舞台に活躍してきた千葉ロッテ・井口資仁に韓国戦を解説してもらった。
真っすぐを意識させてのフォーク
「今日の大谷君はシーズン以上に良かったです。シーズン後半はあまり良くなかったですけどね。立ち上がり、最初の何球かはボールが抜けていましたし、調子はどうなのかなというのはありましたけど、嶋(基宏)君がうまいことインコースを使って、それから真っすぐが良くなりました。先頭打者の4球目ぐらいで調子を取り戻した感じがありましたね。
大谷君は基本的に真っすぐは速くて160キロも出てるんですけど、空振りを取るような真っすぐではないんですよね。シーズンでもあんまり真っすぐで空振りは取れていないですし、クリーンアップにはなかなか真っすぐは投げない。なんだかんだ言って変化球ピッチャーだと思います。
ただ、ことしのシーズンはフォークのコントロールが本当に良かった。フォークでストライクを取れたり、ボールを振らせたりというのが、彼がことし一番成長したところだと思います。今日はそれがそのまま出ていましたね。相手も真っすぐを意識してくる中で、あれだけの変化球が投げられたので、今日は完璧でした。フォークも147キロ出てましたから(笑)」
先制打をもたらした平田の見極め
「最初の点数の取り方がラッキーでしたよね。振り逃げから始まって、サードのベースに当たって、早い回から点が取れたのが非常に大きかったと思います。
平田君もバントを2つ失敗してからですけど、2ボール2ストライクからスライダーを見逃せたのが良かったです。キム投手は右打者のインコースに来るスライダーが一番いいんですよね。スライダーがいいピッチャーに対して、スライダーを狙うことはまずありません。割り切って低めのスライダーを捨てて、少々高めの真っすぐを目付けしておかないと、どうしてもスライダーを振ってしまいます。その前の中田(翔)君のときは振り逃げになりましたけど非常にいいスライダーでした。平田君があそこで見逃せたことでフルカウントになってストライクを投げざるを得ない状況になりました。
キム投手も平田君が見逃して以降、なかなかスライダーが引っかからなくなってきて、だいぶ抜けてきました。バントは成功しなかったですけど、2ボール2ストライクからスライダーを見逃せた時点で勝ったかなという気はしますね」