「プロレスはエンタメの最高峰」の真意 南キャン山ちゃん デビュー心境語る[後編]

スポーツナビ

プロレスデビューを目前に控えた南海キャンディーズの山里亮太さん。プロレスに見る「エンターテイメントの最高峰」の意味を聞いてみた 【スポーツナビ】

 プロレス団体DDTのビッグイベント「大阪オクトパス2015」(11月28日、大阪府立体育会館第一競技場(エディオンアリーナ大阪))でプロレスデビューを飾るお笑い芸人・南海キャンディーズの山里亮太さん。前回はスーパー・ササダンゴ・マシンとの試合に向けて、心境や秘策などについて聞いてみた。

 今回は山里さんがそもそもプロレスに感銘を受けた理由について、その真意を語ってもらった。それはプロレスの魅力を語るだけでなく、現在のエンタメに対する“提言”にもつながる深い内容となった。

 山里さんが語る『エンターテイメントの最高峰』とは!?

レスラーとファンの「共犯関係」

プロレスの会場の中にある、レスラーとファンの「共犯関係」。これが感動を作り出す要因だと話す 【スポーツナビ】

――話が変わりまして、先ほど「プロレスはエンターテイメントの最高峰」というお話をされていました。過去に山里さんは自身のラジオ番組(JUNK『山里亮太の不毛な議論』)でも同じことを話されていましたが、改めてどのあたりがプロレスがエンタメの最高峰なのかをお聞きしたいです。

 会場の中に入って、その瞬間から、会場を出て帰るまで、自分はなんて特別な場所に居れたのだろうという感動がありますよね。すごいものを見たな、すごい時間に立ち合えたなという。空間のプロデュース力がすごいですよね。お笑いは「面白いものを見たな」で帰れるのですが、プロレスはそれにプラスアルファがあるんですよね。

 それはなぜかと言うと、登場から何から何まで、『お客さんからどう見えているか』というのを考え尽くされた演出があって、それに対するリスペクトがあります。

 あとそのプロレスラーやプロレスの団体が紡ぎだしているエンターテイメントに対し、まっすぐに受け止めて、その目の前のものがどうやったら盛り上がるかを全身全霊で感じて、それを表現するお客さんですよね。なんというか、会場内にはプロレスラーしかいないんじゃないかと。本当に試合をしているのはリングの中のレスラーだけですけど、お客さんもみんなプロレスをしてくれているあの感じ、共犯関係、すごいそれがかっこいいです。

 それこそ、今巷ではテレビに対して、「やらせ」だなんだと言う奴が、さも自分がいろいろなものを見てきて、上から目線で「下らないやらせを作って」と言う奴がいるけど、そいつらこそ実は、お笑いとか楽しいものを楽しむ能力が、圧倒的に下だと。プロレスファンのようにものを楽しむ能力、最高の能力が欠如した奴らが増えすぎているというのをすごく感じるんですよね。なんかその、ファンとプロレスラーの関係性が勉強になるなと思っています。

――初めてプロレスを生で見られたのが2013年8月の両国大会ということですが、その時から感じていたのですか?

 それを一番感じたのは、僕がやっていた「スタモン(※)」のイベントで、男色ディーノが出てくれた回ですね。そこからDDTにはまったんですけど、そのイベントでディーノ対(オードリー・)春日という試合があって。その時に芸人は、そういうカードゲームのバトルがあるので、普通に出てくるのですが、ディーノ選手は会場の後ろから出てきて、男性にキスして、女性を殴って、という入場を見ていたら、その時にお客さんの温度が明らかにぐーっと上がったんですよ。それが目から鱗だったというか、「なんだこのすごい世界観は!」となって、それでDDTを見てみたくなりました。そうしたらディーノ選手みたいに会場内を特別にできる人間がこんなにたくさんいるんだと。その方法が、ネタで盛り上げる人もいれば、ガチの戦いで見せる人もいる。人を盛り上げるバリエーションというのは、まだまだあったんだなと。

(編注…山里さんがMCを務めるイベント「スター妄想カードバトル」)

拒絶することは、自信がない現れ

自分が好きなものを好きだと言う「自信」がDDTファンにはあると話す 【前島康人】

――なるほど。個人的な意見ですが、お客さんと一緒に盛り上がるというのは、アイドルにも通じるものがありそうですね。山里さんと言えば、アイドル通で知られていますが、それこそ近いものがあるのではないでしょうか?

 あー、それはあるかもしれませんね。アイドルファンって、みんなそうですよね。目の前にいる大好きなメンバーたちが、一番楽しい状況をどうやったら作れるかというのを常に考えている人たちですよね。その熱量とか、ファンの愛が深いアイドルグループのライブがはねますよね。その温度が下がってくるとやっぱりアイドルは落ちてくるという、ファンにだいぶ左右されますよね。そこはプロレスファンと一緒かもしれませんね。

――今、DDTのファンも急増していて、それこそ女性や子供のファンも増えています。

 そうですね。かっこいい選手も多いですからね。飯伏(幸太)選手とか。

――そういう部分で、老若男女みんなが楽しめているという雰囲気があります。

 そう思いますね。お客さんの層とか、笑い声とか、歓声に小さな子の声が、選手の名前を呼ぶ声がしますよね。あのような子供たちが、ディーノの試合を見て、将来的な人間形成は大丈夫なのかなと心配になるところはありますが(笑)。

 でもそれでいいと思っています。例えば、テレビでもイケメンレスラーの取材をやっていて、『プ女子』なんてものも流行っていますが、やっぱりそういうのをつっぱねちゃいけないんだと思うんですよ。

 つっぱねるという行為は自分の好きなものに対して、自信がない現れだと思うんですよ。入口はミーハーでも入ってきてくれと。ミーハーで入っても、ミーハーじゃないぐらい好きになれるからっていう自信が持てない時に、人はつっぱねると思うんですよ。

 それに自信があるから、DDTのファンもそうですし、新日本プロレスのファンもそうですし、全プロレス団体のファンってそうだと思うんです。すごく受け入れ態勢があるから、非常にいい関係だと思いますね。

――ファンと一緒に作れるというのが大事だと。

 やっぱりそうじゃないですか?

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