予測不能なプロレス、秘策は大喜利!? 南キャン山ちゃん デビュー心境語る[前編]
DDTの11.28大阪大会でプロレスデビューすることになった南海キャンディーズの山里亮太さんに心境を語ってもらた 【スポーツナビ】
お笑い芸人・南海キャンディーズの山里亮太さんが、プロレス団体DDTのビッグイベント「大阪オクトパス2015」(11月28日、大阪府立体育会館第一競技場(エディオンアリーナ大阪))でプロレスデビューを飾る。試合は同じくお笑い芸人で、学生プロレスの経験を持つレイザーラモンのRGさんとのタッグで、“パワポレスラー”スーパー・ササダンゴ・マシンに挑むハンディキャップマッチ。
どんな試合展開になるか予測不可能なこの試合。大会まで1カ月を切った時に、山里さんに試合に向けての心境を聞いてみた。
試合まで1カ月「日々、プレッシャー」
「プレッシャーは、日々、感じています」と話す山里さん 【スポーツナビ】
これがあの、カードこそ決まったのですが、戦い方とかが全然分からない状態で……。RGさんとのタッグでハンディキャップマッチとなるのですが、対策の練りようがなくてですね、自分をどう持っていったらいいか分からないので、不安ではあります。
――タッグを組むRGさんとは試合が決まった後、お話はされましたか?
いや、会ってないです。
――ということはまだ全然準備ができていないと?
そうですね。特に相手がスーパー・ササダンゴ・マシンとなるので、本来のプロレスに向けてやらないといけない準備は必要としない戦いで臨んでくるのだろうなと思っています。ですので、そこは効率良くというか、時間を有益に使うのであれば、もう(体を)鍛えるとかではないんじゃないかなと思っています。
――それこそちょうど、南海キャンディーズとして1年ぶりのコントをされたりと、本業もお忙しく、専念できないところもありそうですね。それでも、「1か月後にはプロレスなんだ」という気持ちにはなりますか?
やっぱりDDTの名前を聞くたびになりますね。この団体にいる、いつも温かく、熱いファンに加え、最近は新しいファンも増えていて、DDTは大事な局面に来ていると思うんですよ。その中の大阪での大きな大会で、その大事な試合に自分が関わるというプレッシャーは、日々、感じています。
――今のところ、プレッシャーの方が大きいと。
そうですね。あと怖さですね、相手がスーパー・ササダンゴ・マシンということで。あの男は、用意周到に、勝ちに向けていろいろ用意してくるし、仕掛けてくると思うので。それに今回は背負っているものがデカい! 僕は吉本興業を背負っているので。
吉本興業を背負っての戦い
対戦相手は曲者のスーパー・ササダンゴ・マシン(左)。そこに対する秘策は!? 【前島康人】
いやいや、さすがにそこは僕も吉本の養成所で育っていますし、師匠たちとの団結もありますから。大阪における吉本と松竹の関係性ということを考えると、僕らが負けるわけにはいかない! もし今回負けるようなことがあったらNGK(吉本の劇場である『なんばグランド花月』)にも一生立てないと思うし、しかもハンデキャップマッチということで、僕らは2人と有利です。これは「ひとまとめにやってやる」という、松竹側であるササダンゴ・マシンの「今、弱っている吉本ならいける」という挑戦状に対し、“お笑い帝国”吉本興業の看板として、完膚なきまでにたたきのめさないと、大阪の地には戻れませんよ。
――なるほど、大きなものを背負っているんですね。
かなりデカいですよ。多分、この話はどの師匠も知らないと思いますが……。勝手に背負っています。
――ではこれから準備をしてく中で、山里さんとしてはどんな対策を練りたいと思っていますか?
先日、(親友である男色)ディーノ選手と相談させてもらって、「仕掛けるなら、山ちゃんからよ」と言われました。ササダンゴ・マシンに対して後手になると、あっちのペースになってしまい、最終的にササダンゴ・マシンが持っていってしまうと。まあ、ディーノはササダンゴ・マシンと同じユニット(#大家帝国)ですけど、「山ちゃんから仕掛けて、向こうから逃げられないようにした方がいいわよ」と言われたので、ひとつ、仕掛けてやろうと思います。
――仕掛けるとは?
大喜利ですね。
テレビ放送カットを覚悟で
前回リングに上がった際も大喜利で戦った山里さん 【前島康人】
おそらく向こうは大喜利をめちゃくちゃ仕上げていると思うのですが、それでも「プロレスラーだから大喜利はそんなに……」という空気感を提示してくるので、その前にこっちからガチンコで正面から、お笑い同士の対決をするから、大喜利で仕掛けてやるよと。大喜利でいきましょうよと。
――その時の試合、大喜利でもササダンゴ・マシンは会場の笑いをかなり奪っていました。
さらにササダンゴの恐ろしいところは、それなのに「(山里さんには)大喜利ではかなわない」という流れに持っていったんですよ。最終的に。あの男は、あそこで「負けた」という表情を見せているんですけど、あれは、伏線のために負けたという表情を作っただけでした。実際は、僕に勝ったと思っていたので。
こっちも急にディーノが体調を崩して出たというイレギュラーだったんですけど、それで戦闘方法もああなったのですが、試合に勝って勝負に負けたというか……。今回は試合も勝負も、がっちり大喜利で見せてやるよと。僕もお笑い帝国(吉本の舞台)で、『ダイナマイト関西』にも出ていますし。
――『ダイナマイト関西』?
バッファロー吾郎A先生が作った大喜利イベントですね。そこで皮肉にも、大喜利デビューを果たしています。その時期(2008年)は、大体『気持ち悪い』とか『アイドルおたく』というレッテルを張られ、虐げられていたのですが、『ダイナマイト関西』では、1回戦で僕とRGさんが戦ったんですよ。その頃の僕とRGさんの世間的評価というのが、本当に低くて。低さにぴったりなお笑いだったんですけど……。その時の評価で覚えているのは、バッファロー五郎A先生がその戦いを見て、「誰がチエの輪マンとルービックキューブマンの試合を見たいんだ!」というセリフですね。
――『キン肉マン』で例えられたと(笑)。
そうですよ。そこが僕らのデビュー戦なんですけど、実はその年、僕は準優勝しているんです! 決勝では、ケンドー・コバヤシという“お笑いキン肉マン”を1ポイントまで追い詰めたんですよ。その開花した日、ルービックキューブマンとチエの輪マンだった僕らだって、立派に“超人”の階段を上ってきているんだと。大喜利ではね。
それでササダンゴ・マシンですが、大喜利は「プロレスラーだから自信がない」という顔をしていたら、全部ウソなんで。あの男は大喜利にかけては力もありますし、あとプロレスの知識もある。それにプロレスファンにとっての“あるある”も入っているから強いんです。僕みたいにテレビの世界に長いこといる人間だとブレーキを踏むところ、こういうワードを言っちゃいけない、こういう団体をいじっちゃいけない、というモラルがあるのですが、ササダンゴ・マシンにはそれがないので、そこら辺を大喜利で攻めてきて、笑いを取りにくると思うんです。そこは前回の戦いで覚えたので、こっちもそこら辺の笑いを使わせてもらいますよと。放送とか関係ないやつをぶち込んでやるぞと。
――テレビ放送カットを覚悟で勝負してやると?
そうですね。前回もやってましたからね。あの男の攻撃として。
僕は優等生な大喜利、相手は邪道な大喜利で戦い、みんなの印象に残ったのは、優等生な受け答えよりも、邪道な「これがササダンゴだよな」ってところで。ササダンゴが悦に浸っていた表情が忘れられないので、今回は反撃の時が来たんじゃないかと。
――なるほど。さらにパートナーは“あるある”の天才児ですからね。
“あるある”に関しては日本最高峰であるRGさんがいるので、お題の展開からどのタイミングでRGさんの力を借りるかというところです。
まあ戦いのシステムがどうなるか分からないのですが、やっぱりRGさんはもともと学生プロレスをやってきているので、プロレスという要素を入れたところではRGさんに任せようと思います。それ以外の、お笑いという部分は僕が背負っていく比率は高くなるので、そこはRGさんの戦いを無駄にしないように、いい大喜利にしないとなと思っています。もちろん、ササダンゴ・マシンがその戦いを飲んでくれるならですけど。