ADOで復活したハーフナー・マイク 今季9試合7ゴールと絶好調の理由

中田徹

ドゥプランとのホットラインが機能

カンブール戦、ゴールを決めたハーフナー(背番号9)を祝福するチームメート 【Getty Images】

 ADOデンハーグのハーフナー・マイクが絶好調だ。25日に行われた第10節のカンブール戦(1−1)で2試合連続となる今季7ゴール目を決めたハーフナーは、オランダリーグ得点王争いの4位タイにつけている。

 目下、ハーフナーと最も相性が良いのは、昨季までユトレヒトの中心選手として活躍していた左ウインガー、エドゥアルド・ドゥプランだ。ハーフナーは今節を含めて半分近くの3ゴールを、ドゥプランのクロスから決めている。

 また、エクセルシオール戦の自身2ゴール目(今季5ゴール目)はディオン・マローンのクロスをドゥプランがスルーしてからハーフナーが決めたもの。デ・フラーフスハップ戦のゴール(今季6ゴール目)は、ドゥプランのCKをジャンニ・ザウファーローンが頭で逸らしてから、ハーフナーが詰めたもの。つまり、ハーフナーの全7ゴールのうち、5ゴールにドゥプランが絡んでいるのである。オランダのメディアが「ドゥプランとハーフナーは良いコンビネーションだ」と評するのも納得のホットラインだ。

 今季3ゴール目となったズウォーレ戦の左足シュートを除くと、ハーフナーのゴールはすべてクロスを合わせたものだ。アーリークロスを合わせたのが1本、ニアサイドで詰めたのが2本、ファーサイドでうまく位置取りしたのが3本だ。右足、左足、ヘッドで満遍なくクロスに合わせているのも、ハーフナーの特徴だ。

 だが、サイドアタックを封じられると、ハーフナーの威力は半減してしまう。第8節の相手NECは、スハーケンとドゥプランを徹底マークすることでハーフナーへのクロスの供給路を断った。ADOデンハーグはNEC相手に1−4という完敗を喫した。また、ハーフナーも『フットボール・インターナショナル』誌から2(10点満点)という極端に低い採点を受けた。

「相手は(ADOの)サイドをつぶしちゃえば自分のところにボールが来ないと分かっているので、まず(ルベン・)スハーケン(右ウイング)とエドゥー(ドゥプラン)のところはつぶされる。中盤も上がってこないし、真ん中の自分のところになかなかボールが入ってこない。結局、攻撃も単調。普通にもっとセンターバックでもいいし、ボランチのところから1回、自分のところにくさびを入れてからという展開を増やさないと攻撃につながらない。これから他のチームも(ADOに対してウインガーをつぶす)こういう戦い方をしてくると思います」(NEC戦後のハーフナー)

ゴール量産も勝てないチーム

デ・フラーフスハップ戦では、マーカーからの執拗なホールディング攻めに苦しんだ 【Getty Images】

 インターナショナルマッチウイーク明けとなった10月18日のデ・フラーフスハップ戦では、ハーフナーはマーカーからの執拗(しつよう)なホールディング攻めに苦しんだ。
「前半からあんなにつかまれて。ペナルティをもらえないことに対して、もうちょっとちゃんと見て欲しいというのはあります」(デ・フラーフスハップ戦後のハーフナー)

 サイドアタックを封じられ、自身も密着マークを受けているハーフナーだが、ここ2試合は、ファーサイドへうまく消えることによってゴールを決めている。28歳になったハーフナーは、チームの主力として油の乗り切った時期を過ごしている。試合後はオランダ人記者が「ADOデンハーグはあなたへの依存度を強めていますね」と話し掛けるほどだ。しかし、ハーフナーのゴールが勝利に結びつくことは少ない。

 ハーフナーが決めた7ゴールのうち先制ゴールは実に5つを数える。その他、勝ち越しゴールが1つある、だが、その間の星取りは1勝4分け1敗と、ハーフナーのゴールは報われることはほとんどない。チームは14位と沈んでいる。

 第10節のカンブール戦を1−1で終えたハーフナーの第一声は「勝てねぇ」だった。オランダのテレビ局から「ゴールを重ねて絶好調ですね」と問われても、浮かない表情で「自分がゴールを決めることより、チームが勝つことのほうが重要」と答えるのが、ハーフナーにとって最近の常である。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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