女子ボクシング二大世界戦!河野vs亀田も=10月のボクシング見どころ

船橋真二郎

小関は16度目の防衛戦

過去15度の防衛を果たしているWBC女子世界アトム級王者・小関桃(右)とV5達成のWBA女子世界ライトミニマム級王者・宮尾綾香(左)が10月22日、東京・後楽園ホールで互いのベルトを懸けて戦う 【船橋真二郎】

 日本女子ボクシング界初の統一王者はどちらか――。WBC女子世界アトム級王者の小関桃(青木/17勝7KO1分)とWBA女子世界ライトミニマム級王者の宮尾綾香(大橋/16勝4KO1敗)が10月22日、東京・後楽園ホールで互いのベルトを懸けて戦う(WBCとWBAで階級の呼称は異なっているが、アトム級とライトミニマム級は同一体重)。

 小関は2008年8月の王座獲得以来、15連続防衛を続けるサウスポー。有吉将之・青木ジム会長に対戦を直訴して実現した宮尾との16度目の防衛戦に「最高のタイミングで、最高の相手と、最高の舞台で戦えることを、最高にうれしく思う」と今まで以上に意欲をみなぎらせている。実力を証明する絶好の機会となる王者同士の一戦に「正直ベルトがほしいわけではなく、宮尾選手とやりたかった。とにかく、いい試合をして勝つ。そのことだけを考えている」と燃えている。

モチベーション最高の宮尾

 一方の宮尾は小関から遅れること4年の12年9月、敵地・大阪で初戴冠。同じ階級のチャンピオン誕生に当時から、いずれはという声も上がってはいたが、「実力ナンバーワン」と評価する小関に対し、大橋秀行会長が対戦は時期尚早と断ったこともあったのだという。その後、宮尾がしっかり5度の防衛を重ねたことで「対戦するに相応しい」とゴーサイン。宮尾もまた「いつかやりたいと思っていたので、ついにきたか、という盛り上がりがある」とモチベーションは最高潮。こちらは「私は(小関とは)真逆でベルトがほしい。確実に自分が持ち帰りたい」と貪欲にWBCの緑のベルトを狙う。

 日本プロボクシング協会長でもある大橋会長と、協会の女子委員長を務める有吉会長が期待するのは「女子ボクシングの起爆剤となり、女子の人気向上のきっかけになれば」ということ。鋭い出入りからテンポよく手数を繰り出していく小関に対し、宮尾は俊敏なフットワークを駆使したヒットアンドアウェイを持ち味とする。女子の1ラウンドは2分間。凝縮されたスピーディな攻防で観衆を魅了できるか。

藤岡が2度目の3階級制覇挑戦

10月19日のWBO女子世界バンタム級王座決定戦で3階級制覇に挑む藤岡奈穂子(写真は13年11月の山口直子戦) 【写真は共同】

 小関vs.宮尾の3日前、19日の後楽園ホールではWBA女子世界スーパーフライ級王者の藤岡奈穂子(竹原慎二&畑山隆則/13勝6KO1敗)がユ・ヒジョン(韓国/15勝6KO2敗)と空位のWBO女子世界バンタム級王座を争う。藤岡は11年5月にWBC女子ミニフライ級王座を獲得し、同王座を2度防衛。13年11月、一気に3階級上げて、山口直子から現在のベルトを奪取した。昨年11月には敵地ドイツでWBA女子フライ級王者のスージー・ケンティキアンとの実力者同士の一戦に挑み、判定で惜敗。それ以来、2度目の3階級制覇挑戦となる。

 藤岡はこれが1年ぶりの日本のリング。今年3月にはメキシコに飛び、現地の人気者で評価の高いマリアナ・ファレスのWBCインターナショナル王座に挑戦し、2−1ながら内容的には完勝の判定で下し、実力を証明した。以降、藤岡がベストウェートと考えるフライ級での世界挑戦を模索するも、結局まとまらず。今回はさらに階級を上げることになった。8月で40歳となった藤岡だが「3階級制覇に成功したら、将来は4階級制覇も」と意気軒昂。女子では屈指の運動能力を誇り、ダイナミックなボクシングは、小関、宮尾とは違った魅力がある。4回戦時代の2敗以降、現在14連勝中。世界初挑戦となるユに対し、過去最重量のバンタム級で力を示すことができるか。

1/2ページ

著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント