女子ボクシング二大世界戦!河野vs亀田も=10月のボクシング見どころ

船橋真二郎

河野vs.興毅は終盤の精神力がカギ

「試合をするのは夢だった」という米国でWBA世界スーパーフライ級王者・河野が亀田興毅を迎え撃つ 【写真は共同】

 16日(現地時間)には米国イリノイ州シカゴのUICパビリオンでWBA世界スーパーフライ級王者の河野公平(ワタナベ/30勝13KO8敗1分)が挑戦者に亀田興毅(日本/33勝18KO1敗)を迎え、2度目の防衛戦に臨む。世界的には無名に近い日本人同士の一戦が米国で開催されるのは極めて異例だが、これは日本のライセンスを持たないランク2位の亀田を、WBAが対戦を義務づけられる指名挑戦者としたため(本来1位挑戦者扱いの暫定王者を除けば、最上位)。そんな事情もあって、現在は米国を主戦場とする挑戦者の亀田に対し、王者の河野が“敵地”に乗り込まざるを得ない形で実現した。

 最も河野は「米国で試合をするのは夢だった」と前向きに捉え、「敵地で勝つにはKOしかない。絶対に倒して勝つ」と亀田の実力に敬意を示した上で強い意気込みを示す。対する亀田は河野の発表会見に乱入し「今のボクシングでは俺には勝てない」と威圧したが、9月にはラスベガス入りし、現地での調整に余念がない。

「ボクシングをできることが幸せ」と常々、話してきた34歳の河野としては残りのボクサー人生を完全燃焼するためにも絶対に負けられない。亀田は目標とする4階級制覇に加え、9月に弟の大毅、和毅が揃って敗れてしまったことで“カメダ・ブラザーズ”の長兄として、負けられない理由が増えた。過去に海外で4戦の経験があり、昨年11月の前戦では同じ会場で再起戦に勝利している亀田が場慣れという点では優勢。生き残りを懸けた両者の一戦が、どんな結末を迎えるのか。ともに練習量に定評があり、体力面では互角なだけに試合終盤の精神力が勝敗を分けることになるかもしれない。

拳四朗が3戦連続後楽園に登場

 12日には評価を急上昇させている23歳の拳四朗(BMB/4勝3KO)が3戦続けて後楽園ホールに登場。無敗のロリー・スマルポン(フィリピン/9勝4KO1分)と空位のWBC・ユースライトフライ級王座を争う。元東洋太平洋ライトヘビー級、日本ミドル級王者である寺地永・BMBジム会長を父に持つ拳四朗は関西大学時代に国体を制するなど、アマキャリアも豊富。高校時代には2学年下の“怪物”井上尚弥(大橋/現WBO世界スーパーフライ級王者)の前にインターハイ決勝、国体準決勝で敗れ、タイトル獲得を阻まれた苦い経験もある。

 昨年8月のデビュー以来、「テクニックは高いが、線が細い」というのが定評だったが、今年3月に全勝の元全日本新人王、8月には20戦以上のキャリアを持つ日本ランカー相手に、センスの良さに加え、力強い攻めを織り交ぜて、連続TKO勝ち。本格派の全貌を見せ、軽量級期待のホープにのし上がった。9月17日に空位の日本ライトフライ級王座に就いたベテラン堀川謙一(SFマキ)とは同じ京都勢。最新ランキングで最上位に上がることが濃厚で、この試合に勝利すれば、年内もしくは年明けの日本タイトル挑戦に近づく。

世界14位の加藤が久々リング

 拳四朗のセミファイナルには元東洋太平洋、日本ライト級王者でWBO世界ライト級14位のベテラン加藤善孝(角海老宝石/29勝9KO5敗1分)も出場。フィリピン出身の原田門戸(横浜さくら/29勝13KO8敗2分)とノンタイトル8回戦で拳を交える。昨年12月、世界挑戦経験もある荒川仁人(現・ワタナベ)との1勝1敗を受けた決着戦を制し、国内ライト級トップを証明。世界挑戦に向けてベルトを返上したが、結局それ以来、10カ月ぶりのリングとなった。

 フィリピン時代、強豪との敵地での対戦経験も豊富な原田は中谷正義(井岡)の東洋太平洋ライト級王座挑戦を含め、来日してからも国内の強豪に対し、3勝1KO1敗1分の好戦績を残す難敵。加藤としては久々の実戦で存在感を示す格好の相手となる。ともに好戦的なタイプで熱戦は必至。加藤は確実に勝利し、チャンスを待ちたい。

細野が停滞ムードを吹き飛ばせるか!?

 なお、小関vs.宮尾が行われる日のメインは日本フェザー級タイトルマッチ。8月20日に大差判定で3度目の防衛を果たした細野悟(大橋/28勝20KO2敗1分)が、渡邉卓也(青木/26勝12KO5敗1分)を迎える。ここ2戦は判定防衛が続き、自慢の強打が湿りがちの細野は停滞ムードを吹き飛ばし、4度目の世界挑戦をアピールする試合内容が求められる。これが2度目の日本タイトル挑戦となる渡邉は強打の王者に対し、持ち味であるアウトボクシングをいかに機能させ、焦りを誘えるかがポイントになる。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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