平泳ぎ・立石諒を狂わせた勝負の誘惑 得意の200mへ、冷静さを保てるか?
今大会は「五輪へのステップ」
男子100メートル平泳ぎで予選敗退の立石諒が、レース後に語ったこととは!? 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
2日にロシア・カザンで行われた水泳の世界選手権・男子100メートル平泳ぎ予選、立石諒(ミキハウス)は1分1秒26で全体29位となり、敗退が決まった直後にこう語って顔をしかめた。
2012年のロンドン五輪では200メートル平泳ぎで銅メダルを獲得した立石は、昨年8月に右ひじを手術したばかり。「日本代表に戻りたい」という一心で4月の日本選手権に照準を合わせたものの、本来の調子には程遠く、100メートル・200メートルともになんとか代表入りを果たしたという状態だった。所属するミキハウスの世界選手権壮行会でも、「今大会は『リオデジャネイロ五輪へのステップ』と位置づけ、来年につながる泳ぎをしたい」と控えめな目標を宣言していた。もともと今大会は、本気で勝負できる状態にないことは分かっているはずだった。
世界の強豪にペースを乱される
「自分の現状を理解しているつもりだったんですけれど、こういう舞台に来ると抑え切れなくなってしまった。前半からいけないのにいってしまったり、周りのペースについていきたいというイメージが出てきた。隣にギュルタがいたりすると勝負したくなってしまい、自分のレースができなくなってしまった」
立石は本来、後半で勝負する泳ぎを得意としており、ラスト50メートルで勝負をかけるレース展開を目指していた。しかし、このレースでは前半から積極的に仕掛けるレース展開についていき、自分のペースを見失ってしまった。
「自分のレースができればいい」
しかし、200メートルのスタートリストを見ると、立石の隣には4月に100メートル平泳ぎで57秒92の世界新記録をマークしたアダム・ピーティ(イギリス)の名前がある。2日に行われた同種目の予選・準決勝を1位で通過しており、3日の決勝でも優勝候補と目されている。
またも、世界最高峰の選手と泳ぐことになった立石は、冷静さを保ち、自分のレースを貫くことができるのだろうか。
(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)
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