個の頑張りが高めた男子リレーのチーム力 世界水泳で過去最高の6位、五輪枠も確定
塩浦「現時点で最高のパフォーマンス」
男子400メートルフリーリレーは過去最高の6位入賞を果たし、リオ五輪の出場権も獲得した 【写真は共同】
今大会では、予選では各国選手のタイムが上がらず、前回の13年バルセロナ大会で銀メダルを獲得した米国が、11位タイで予選敗退。前々回の上海大会を制したオーストラリアが13位で五輪の出場権を逃すなど、波乱が相次いだ。
その中で日本は、予選で第1泳者の中村が48秒60、続く塩浦が48秒46、小堀が48秒83、アンカーの藤井が48秒87と全員が48秒台でまとめ、各選手の安定感が光った。また4人のうち、100メートル自由形の現日本記録保持者である中村、その中村とトップを争う塩浦に対し、小堀と藤井はそれぞれ本職が200メートル自由形、100メートルバタフライの選手である。現在の第一人者に追随する好記録を出した2人を、塩浦はこう称賛している。
「前回は当時のトップ4人で組み、初めて決勝に進むことができました(結果は8位)。今回はそれができず、リオ五輪の出場枠を取るだけでもすごく大変だと思っていました。小堀が頑張ってくれたし、拓郎さんもずっとこの種目を引っ張ってくれているし、今回もまた頑張ってもらった。おかげで、現時点で最高のパフォーマンスができました」
個の力を高め、チームとして結果を出す
今回の日本は、チームとしての連携を高めるのではなく、個人の目標達成に重きを置き、それぞれが役割を果たすことだった。その共通認識の下、個々が自分の練習に集中したことが、結果的にチームとして大きな仕事を成し遂げることにつながった。
リオでさらなる結果を残すために
今回が初代表の中村。課題に挙げたのは、「自分のレースをできるようにすること」 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
藤井は「メダルを取るチームは、予選から切り替えがしっかりできていて、決勝で大幅に記録を上げてくる。そこがまだ日本には足りない」とより具体的な問題点を挙げている。
特に、中村はその課題を一番実感したようだ。他の3人が決勝でも48秒台でまとめる中、唯一49秒10までタイムを落としてしまった。
「雰囲気で気合いが入り過ぎてしまった感じで、力みが生じました。前半で離された分を後半上げようとして、焦りが生じてどんどん空回りしてしまいました。もう少し(周りに左右されず)自分のレースをできるようにしないといけないと思います」
選手たちによれば、地元ロシアを応援する大観衆が作り出す雰囲気や重圧、サッカースタジアム内に作られた仮設のプールのため、気候や天気の変化を受けやすいなどの難しさがあるようだ。そういった環境に慣れるという意味では、初の世界選手権となった中村をはじめ、選手たちにはこの日だけでも大きな経験になったことだろう。
この後も、それぞれの個人種目で決勝を戦うチャンスが残されている。4人にはロシアでもう一度、個人で決勝進出を果たし、さらなる強さを身につけてもらいたい。その経験は、チームとしての強化にもつながるはずだ。
(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)
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