シーズンを通して試練に立ち向ったNBL 新リーグへバトンを渡すために必要な考え
スポーツナビ編集部より
堀井副理事長(左)にNBLの2014−15シーズンを振り返ってもらった 【写真:伊藤真吾/アフロスポーツ】
そんな激動の期間に開催されていた“2つの”2014−15シーズンが5月に終了した。制裁の一つの要因となってしまった2つの男子トップリーグであるNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)とbjリーグ(ターキッシュエアラインズbjリーグ)は今年どのようなシーズンを歩んできたのか。国内でも競技人口はサッカー、野球についで多く、世界的にも人気がある『バスケットボール』の発展を信じ、目の前の課題と真髄に向き合ってきた両リーグの関係者に2014−15シーズンをじっくりと振り返っていただいた。
今回は、専務理事の退任やチームの経営悪化問題が生じるなど、シーズンを通して厳しい状況が続いたNBLの堀井幹也副理事長に、今シーズンの反省点や具体的に行っていた対応、そして来シーズンへ向けた新たな取り組みや抱負などをしたためていただいた。(スポーツナビ編集部)
いろいろなことがあった2014−15シーズン
プレーオフ決勝はアイシン三河がトヨタを下し、王座奪還を果たした 【加藤よしお】
今シーズンは日本バスケット界にとっては大きなターニングポイントとなるシーズンとなりましたが、今季も無事に全日程を終了することができました。ファンの皆様の応援や関係各位のご尽力の賜物だと思っております。本当にありがとうございました。
プレーオフ決勝戦ではアイシンシーホース三河が優勝し、敗れたトヨタ自動車アルバルク東京も素晴らしいプレーを披露してくれて、NBLとしてもシーズンを締めくくるにふさわしい試合だったと思っております。今シーズンは、シーズン中にチームの経営状況の問題が出てしまったり、専務理事の退任、理事長の療養といろいろなことがありました。そんな中で、無事全日程を終えられたことは本当に良かったと思っておりますし、皆様に感謝いたします。
シーズンのほとんどが経営フォローに追われる
シーズン開幕直後に運営会社の経営難が発覚したつくばロボッツ 【写真:伊藤真吾/アフロスポーツ】
特に観客数に伸びが見られたのは、新リーグの方針が打ち出された終盤になってからです。新リーグの1部へ参入するためにチームもアピールし、一般の方のバスケットボールに対する認知度も上がってきた印象を受けます。チームのモチベーションを変えることができたという意味でも、JBA(日本バスケットボール協会)の川淵三郎会長(兼タスクフォース・チェアマン)には本当に感謝しております。
NBLではリーグ全体での平均入場者数2000名を目標としておりましたが、その数字にはまだまだ届くことができておりません。しかし、リーグ最終戦では5000名ものファンの皆さまにご来場いただいた北海道のようなチームもありました。リーグとしても、来シーズンも平均入場者数2000名を目標に掲げ、各チームをサポートしながら、ファンの皆さまに快適に楽しくバスケットボール観戦をしていただけるよう、努力していきたいと考えております。
その他の面で考えると、今季はリーグとしての“挑戦”が少なかったと反省しております。それは、開幕直後の昨年10月に発生したつくば運営会社の経営難に始まり、その後の和歌山の経営難問題がクリアされる1月まではチーム経営のフォローのために人員を割かざるを得ない状況になったためです。
特につくばと和歌山へはチームの中へ入り込んだフォローを行いました。具体的には、運営会社の選手契約の確認やスポンサー契約書の確認、行政へのあいさつなど多岐に渡るものです。まずはチームがこれ以上つぶれないことがリーグのバリューを担保、確立させるために最重要な課題と考え、シーズンの多くをこの問題のフォローに奔走しており、その他のことは後手後手になってしまっていたというのが今シーズンの印象です。
オールスターを2日間で開催するという初の試みもしましたが、昨年10月からのプロモーション期間に着手することができず、観客数を増やすことはできませんでした。しかし、内容面では昨年よりもパワーアップさせることができたと考えております。多くのイベントを用意し、お客様に楽しんでいただける会場作りをすることができたと考えております。特に高校生や大学生といった東京五輪世代の選手たちに大きな会場の晴れ舞台でプレーしてもらう選抜試合を行うことができことはうれしく思います。普段NBLを観戦していない高校関係者の方にもご来場いただくことができ、「来年もやってほしい」という意見も各所からいただくことができ、非常に意義ある取り組みができたと考えております。