“外国人頼み”だった近年の広島 それでも巻き返しに必要な助っ人の力

ベースボール・タイムズ

まさかの不振、最大の要因は打線

よもやのつまずきに暗い表情が目立つ緒方監督。巻き返しに助っ人の力は欠かせない 【写真は共同】

 シーズン開幕前、優勝候補に挙げられていた広島が、20試合を消化した時点で7勝13敗のリーグ最下位と、思わぬ展開となっている。

 開幕カードの東京ヤクルト戦(マツダ)は勝ち越したものの、ロードに出た横浜DeNA戦(横浜)、中日戦(ナゴヤドーム)には2カード連続で3タテを食らって7連敗。黒田博樹、新井貴浩という、かつてのエースと4番が復帰した今季、広島の街はかつてないほどの盛り上がりを見せ、緒方孝市新監督は「優勝しかない」と、意気揚々の開幕を迎えたが、日に日に表情は暗くなり、試合後の会見で発する言葉も少なくなっている。

 不振の最大の要因は打線にある。チーム防御率と失点は、ともにリーグ2位だが、得点は他の5チームと10点以上の差をつけられている。20試合中、4得点以上を奪った試合はわずか5試合のみ。得失点差マイナス5ならば、もう少し勝てていてもおかしくない。

 一方の投手陣が万全かと言えば、実はそうでもない。前田健太、黒田のダブルエースに加え、2年目の飛躍が期待される大瀬良大地、デビュー戦で準完全試合の快投を見せた新外国人のジョンソンなど、先発陣は12球団トップクラスの顔ぶれがそろうが、リリーフ陣に絶対的存在がおらず、終盤のリードを守りきれない試合が目立つ。今季はすでに6試合もある延長戦で全敗しているのは、その象徴と言える。緒方監督が掲げる「少ない得点を最後まで守りきる野球」は、残念ながら現時点では実践できていない。

4番と守護神は助っ人頼み

 思わぬ展開、と最初に書いたが、実は現在の状況は昨年からの不安要素がそのまま出てしまった結果と言える。そのキーワードとなるのが“外国人頼みのチーム編成”だ。4番打者と守護神。チームの核となるべき存在だが、カープの場合はここ数年、いずれもその役割を外国人選手に頼っているのが現状である。

 今季、春季キャンプの時点では、昨季100打点を記録したエルドレッドが4番候補だった。そのエルドレッドが左ひざの手術で離脱すると、新外国人のグスマンが後を任された。開幕4番となったグスマンは、本塁打こそないが、開幕から8試合連続安打を記録し、打率3割3分3厘。出塁率と長打率を足したOPSは8割9分5厘と、打線の軸としての役割を果たしていた。しかし、連敗中の4月5日に脇腹痛で登録抹消。その後任は、キャンプで虫垂炎を発症して出遅れていた第3外国人のロサリオだった。

 一方、昨季まで3年連続で20セーブ以上を記録したミコライオ(現・東北楽天)が抜けたストッパーは、昨季途中に入団したヒースに白羽の矢が立った。昨季は先発で結果を残したヒースだが、米国での経験に加え、クライマックス・シリーズ(CS)でリリーフの適性を示したことで、新守護神の期待を背負った。

 だが、この計画はすぐに頓挫する。150キロ前後のストレートと独特のナックルカーブが武器のヒースだが、絶対的なウイニングショットと呼べるボールがなく、さらに一度ストライクが入らなくなると四球を連発する悪癖もあり、開幕から安定感に欠く投球が続いた。防御率こそ1点台をキープするものの、走者を許さなかった試合は皆無に等しく、延長戦で決勝弾を許した4月18日の中日戦(マツダ)の試合後、緒方監督は「投手の配置転換をする」と、ヒースの中継ぎ降格を明かした。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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