“外国人頼み”だった近年の広島 それでも巻き返しに必要な助っ人の力
「4番・新井」では物足りない
打線のテコ入れを図るべく入団したシアーホルツ。今後の活躍にも期待が集まる 【写真は共同】
近年まれに見る充実した先発陣を考えると、その思いはさらに強くなる。前任の野村謙二郎監督と比べて、緒方監督は先発陣に長いイニングを任せる傾向もあり、手薄なリリーフ陣をカバーできそうな勢いもある。現状では、やはり打線の得点力アップが一番のカギとなるだろう。
攻撃のスイッチを入れるのは、菊池涼介、丸佳浩の“菊丸コンビ”だが、この2人の能力を最大限に生かすためには、勝負強い4番打者が必要になる。実際、昨年のこの時期は、菊池、丸が出塁してエルドレッドがかえす、というパターンが威力を発揮してチームは快進撃を見せた。
しかし今季は、故障の2人に加えて、ロサリオも昨年ほどの勢いがなく、現状では外国人野手が総崩れの状態となっている。ならばと、8年ぶりに復活した「4番・新井貴浩」のスタメンは、情緒的には感慨深いものがあり、新井本人も今季4番で先発した試合は22打数6安打の打率2割7分3厘と奮闘してはいるが、昨季3本塁打で今年38歳となった男が4番では、リーグ優勝を狙うチームとしては「物足りない」と言わざるを得ない。
緊急補強のシアーホルツに期待
思えば、16年ぶりのAクラス入りで初のCS出場を果たした2013年も、途中入団のキラの存在が大きかった。キラが4番に定着することで、打順が固定化され、得点力が大幅にアップした。シアーホルツが中軸で打点を稼ぎ、さらにエルドレッド、あるいはグスマンが復帰すれば、試行錯誤が続く緒方監督の理想とする“不動のオーダー”も夢ではなくなる。
さかのぼることちょうど40年前、1975年の初優勝時にはホプキンス、シェーン、2年連続日本一となった79、80年にはライトル、ギャレット、そして今季のように投高打低のチームで最後のリーグ優勝となった91年には、西田真二とともに4番を務めたアレンと、リーグ制覇したカープには外国人選手の力が不可欠だった。今季もやはり、助っ人の力は必要不可欠になるだろう。
入団会見で「ファンの期待に応え、優勝という文字を持ち帰りたい」と抱負を語ったシアーホルツ。4月19日の中日戦(マツダ)のでのデビューから3試合で11打数1安打だが、本領発揮はこれから。24年ぶりの悲願達成へ向けて、低迷の4月から浮上の5月へ。今季のカープは“鯉の季節まで”ではない。鯉の季節“から”の巻き返しに期待したい。
(取材・文:大久保泰伸/ベースボール・タイムズ)