“外国人頼み”だった近年の広島 それでも巻き返しに必要な助っ人の力

ベースボール・タイムズ

「4番・新井」では物足りない

打線のテコ入れを図るべく入団したシアーホルツ。今後の活躍にも期待が集まる 【写真は共同】

 頼みの外国人選手が故障や不振で機能しないことで、チームは現在、最下位に低迷している。それでも幸いなことに、現時点のセ・リーグでは特出したチームはおらず、巻き返しは十分に可能だろう。

 近年まれに見る充実した先発陣を考えると、その思いはさらに強くなる。前任の野村謙二郎監督と比べて、緒方監督は先発陣に長いイニングを任せる傾向もあり、手薄なリリーフ陣をカバーできそうな勢いもある。現状では、やはり打線の得点力アップが一番のカギとなるだろう。

 攻撃のスイッチを入れるのは、菊池涼介、丸佳浩の“菊丸コンビ”だが、この2人の能力を最大限に生かすためには、勝負強い4番打者が必要になる。実際、昨年のこの時期は、菊池、丸が出塁してエルドレッドがかえす、というパターンが威力を発揮してチームは快進撃を見せた。

 しかし今季は、故障の2人に加えて、ロサリオも昨年ほどの勢いがなく、現状では外国人野手が総崩れの状態となっている。ならばと、8年ぶりに復活した「4番・新井貴浩」のスタメンは、情緒的には感慨深いものがあり、新井本人も今季4番で先発した試合は22打数6安打の打率2割7分3厘と奮闘してはいるが、昨季3本塁打で今年38歳となった男が4番では、リーグ優勝を狙うチームとしては「物足りない」と言わざるを得ない。

緊急補強のシアーホルツに期待

 ここで期待したいのが、近年では年中行事となった感もある開幕後の緊急補強による新外国人選手の存在だ。MLB通算799試合に出場し、52本塁打、228打点のシアーホルツは、ジャイアンツ時代の10年にはワールドシリーズに出場したこともある実力派。昨オフに、最終的にはイチローを獲得したマーリンズが、第4の外野手として最後まで候補に挙げていたという報道もあるほどの選手だ。

 思えば、16年ぶりのAクラス入りで初のCS出場を果たした2013年も、途中入団のキラの存在が大きかった。キラが4番に定着することで、打順が固定化され、得点力が大幅にアップした。シアーホルツが中軸で打点を稼ぎ、さらにエルドレッド、あるいはグスマンが復帰すれば、試行錯誤が続く緒方監督の理想とする“不動のオーダー”も夢ではなくなる。

 さかのぼることちょうど40年前、1975年の初優勝時にはホプキンス、シェーン、2年連続日本一となった79、80年にはライトル、ギャレット、そして今季のように投高打低のチームで最後のリーグ優勝となった91年には、西田真二とともに4番を務めたアレンと、リーグ制覇したカープには外国人選手の力が不可欠だった。今季もやはり、助っ人の力は必要不可欠になるだろう。

 入団会見で「ファンの期待に応え、優勝という文字を持ち帰りたい」と抱負を語ったシアーホルツ。4月19日の中日戦(マツダ)のでのデビューから3試合で11打数1安打だが、本領発揮はこれから。24年ぶりの悲願達成へ向けて、低迷の4月から浮上の5月へ。今季のカープは“鯉の季節まで”ではない。鯉の季節“から”の巻き返しに期待したい。

(取材・文:大久保泰伸/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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