広島の命運を握る4つの鍵 緒方監督が描く24年ぶりVのシナリオ

週刊ベースボールONLINE

13年ぶりに広島で開幕を迎えたカープ。緒方監督のもと悲願の24年ぶり∨を目指す 【写真=小山真司】

 広島の優勝へのシナリオが見えてきた。チームは2年連続Aクラス入りと着実に成長を示し、選手たちは自信を深めている。昨秋に緒方孝市新監督が就任し、菊池涼介と丸佳浩をチームリーダーに指名した。エースの前田健太がポスティングシステムによるメジャー移籍を断念し、そこに黒田博樹8年ぶりの電撃復帰も加わった。優勝の機運が高まる中、緒方カープが今、新たなページを開こうとしている。24年ぶり優勝の命運を握る4つのポイントについてまとめた。

(1)先発ローテを支える2本の大きな柱

エース前田と黒田、この2人がいることで大型連敗は回避できそうだ 【写真=小山真司】

 広島の最大の強みは先発陣だ。開幕から今季最大のストロングポイントである先発の力を前面に押し出して、好スタートを切れるかがひとつのカギとなる。昨季の広島がそうだったように、開幕ダッシュは若いチームに勢いだけでなく、自信も与えてくれる。

 エースの前田に加え、メジャーで5年連続2桁勝利、通算79勝の黒田がいる。メジャー帰りの右腕はオープン戦から力の違いを見せつけ、公式戦初先発でも7回5安打無失点で初白星。実戦負け知らずのままシーズンでも変わらぬ安定感を誇る。2本の大きな柱があることで、大きな連敗は避けられそうだ。彼ら2人に続くのが来日初登板で1安打完封の好投を見せたジョンソン、大瀬良大地、野村祐輔、6番手に福井優也が加わる。

 福井は、1年目の11年に8勝を挙げながら翌年から成績が下降。昨季復調のきっかけをつかみ、今年は春季キャンプ、オープン戦と結果を残した。黒田も「昔の俺と重なる。カウントを悪くして甘い球を投げるくらいなら、有利なカウントで思い切って勝負した方がいい」と潜在能力を買っている。6番手の福井の才能が開花すれば、広島の先発陣はより強力となるだろう。

 5人ではなく、6人そろったところが大きい。黒田や前田も中6日と余裕のある登板スケジュールを組むことができる。特に状態が万全に近いシーズン序盤は、先発投手に長いイニングを任せて余裕ある投手起用を行いたい。

(2)確立できない必勝パターン

開幕3戦目で来日初セーブを挙げたヒースだが、決め球を欠き不安が残る 【写真=小山真司】

 キャンプ早々に6枠が埋まった充実の先発陣とは異なり、リリーフ陣は必勝パターンを確立できないまま開幕を迎えた。しばらくは先発陣への負担が大きくなるかもしれない。ただ、昨季と同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。昨季は開幕直後に大きな貯金をつくりながら、中継ぎ投手に負傷者を出したことで勝ち星を積み重ねられず、交流戦で急降下した。

 現時点で抑えはヒース。開幕3戦目に来日初セーブを記録した。7、8回を若い中崎翔太と一岡竜司でしのぐ考えだ。この形でシーズンを乗り切ることができればいいが、厳しい面もある。ヒースは抑えとして絶対的な勝負球に欠け、中崎と一岡は経験不足と故障明けという点が不安材料。キャンプ序盤に右足首捻挫で出遅れながらも、調子を上げている助っ人左腕のザガースキーを含め、できるだけ早く勝利の方程式を確立させたい。

 ラストスパートをかけるシーズン終盤には、さらなる底上げが求められている。畝龍実投手コーチは「勝負どころの8月、9月になれば、黒田やマエケンの登板間隔を狭めることもある」と明言。先発が登板間隔を詰めるようになれば、中継ぎ陣への負担は増す。

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