黒田復帰による好影響と唯一の不安要素 高橋建氏が懸念する“大きすぎる期待”
かつてない盛り上がりの“黒田台風”
合流初日には200人以上の報道陣が黒田目当てに取材に訪れた。広島を中心に高まる重圧に黒田は耐えられるか? 【写真は共同】
その中心にいるのが、MLBから8年ぶりに日本球界復帰を果たした黒田博樹だ。MLBで5年連続2ケタ勝利を記録した黒田は、今季も年俸20億円以上のオファーがあると言われながら、「現役の最後はお世話になった広島で」と、約5分の1の年俸4億円(推定)でカープに復帰した。
広島空港への出迎えが約100人、入団会見は広島の民放テレビ4局のうち3局が生中継、そしてキャンプ合流初日は、球団関係者が「平日では過去に記憶がない」という約1000人のファン、報道陣200人以上と、黒田のカープ復帰は、周囲にかつてない盛り上がりをもたらしている。
2年連続でAクラスと長期低迷を脱出しつつあるカープだが、24年ぶりのリーグ優勝に向けて、観測史上最大級の“黒田台風”は果たして、どれほどの追い風となるのだろうか……。
3度のブルペンで増す存在感
ブルペンには合流初日から入り、正捕手候補の筆頭として期待されている會澤翼を相手に投球練習。「スライダー以外は全球種投げた」と本人が振り返ったように、フォーシーム、ツーシーム、カーブ、カッター、スプリットと、変化球を中心に計37球を投げ込んだ。
20日に行った2度目のブルペン入りでは、もう一人の正捕手候補である石原慶幸を相手に76球を投じた。MLBのキャンプでは、球団側の方針もあり投球練習は30球前後で終わることが多かった黒田だが、「シーズンに入れば完投もある」と日本式を意識した“異例” の球数だった。
そして3度目のブルペンとなった22日には、開幕投手に指名されているエース前田健太との“共演”を果たした。50球を投げ、スライダーを初めて投げた黒田と並んで投球練習を行った前田は、「迫力がありました」と感慨深そうに語った。
高橋建氏、捕手も絶賛する変化球
「7割か8割ぐらいの力で、リラックスして投げていたけど、すごい球がいっていましたね。コントロールも、低めにバシバシ決まっていた。時差ボケもあり、2時か3時ぐらいまで眠れないと聞いていたけど、その状態であれだけの球が投げられるのは、やっぱりすごい」
技術的には「右打者へのシュート、ツーシーム。日本人では投げる投手が少ないボールですが、精度が良かった」と高橋氏。実際、そのボールを受けた會澤は「キレが良かった」、石原も「ほとんどが構えたところに来ていた」と、コントロールの良さを絶賛している。
さらに日米間のボールの違いやストライクゾーンの問題についても、高橋氏は「(日本のボールは)本人は『投げた感触が良かった』と言っていたし、実際にしっかりボールを動かしていた。ストライクゾーンについても、本人が『日本も米国もあまり変わらないですね』と言っていた。審判に個人差はありますが、そこもすぐに対応できるのでは」と、不安の声を一掃した。