森保Jは「W杯優勝」を本気で目指しているぞ! 脈々と受け継がれるW杯の歴史と価値

舩木渉

日本代表の次なる目標はW杯優勝

日本代表には個性豊かな選手たちが集まり、1つのチームとなって8大会連続のW杯出場権をつかんだ 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 バーレーンに2-0で勝利した直後のスピーチでキャプテンの遠藤航が「僕らの今の目標はW杯で優勝することです」とあらためて宣言したように、森保ジャパンの目標はあと一歩で初の準々決勝進出を逃したカタール大会での「ベスト8」から「世界一」へと変わった。

 3月シリーズの合宿初日、過去4大会連続でW杯メンバーに選ばれてきた長友は「日本の中ではぶっ飛んでいて浮いているかもしれないですけど、世界に出るともっとぶっ飛んでいる奴がいっぱいいるし、彼らはそれに慣れてきて、そういう生物になってきた」と冗談を織りまぜながら、日本代表選手たちが身を置く環境や意識の変化について熱っぽく語っていた。

「(本田)圭佑や(香川)真司、長谷部(誠)さん、(川島)永嗣さんとずっと熱く話してきた。(下の世代と)そんな熱い話をしていたら、最初の頃は熱すぎて引かれるというか、自分が取り残されている感覚になっていたんですけど、今はお互いに食事の席でもそういう熱い話をして、自分のエネルギーや熱いものを後輩たちが受け入れてくれ始めた感覚があって。

 今日もちょうど、みんなと『すごく居心地がいいよ』という話をしていたんですよね。そのくらい浮いていた感があったのが馴染み始めたというのは、自分にとっては非常にうれしい部分もあって。熱苦しい話ができる後輩たち、仲間ができているのは非常にうれしいですよ」

 チームのメンタルリーダーである長友が地道に伝えてきた世界一への思いは、周りの選手たちのW杯への意識に変化をもたらした。いつもクールであまり感情を出さない伊藤洋輝ですら、バーレーンに勝って北中米W杯への出場が決まった後の取材で「世界的に見ても一番大きな大会だと思うし、誰もが目指している舞台。まず一選手としてそこの舞台にもう一度立ちたいというのが前回の大会で悔しい思いをした身としてあるし、長友選手が何度も何度も目指す気持ちもあらためてわかる。そういう舞台だと思う」と言うまでになった。

 長友の愛弟子的存在として薫陶を受けてきた堂安律は、3月シリーズの活動が始まる前から世界一への強い思いを語り続けてきた。そして、あらためて言う。

「今は(W杯優勝が目標と)そう言った人が浮くような集団じゃない。全員が同じ方向を向いていますし、逆に今は『W杯優勝』と言わないと取り残される。そういう集団になれているのはいいと思います。昔の世代だったらもしかしたら逆で、意識の高すぎる選手が孤立してしまう風潮があったかもしれないですけど、今は全選手が上を向いてやっているので、素晴らしい集団になっていると思います」

「本田(圭佑)さんが(W杯優勝を目指したいと)言っていたのをテレビの前で見ていた中で、彼みたいな偉大な選手たちが言っていたことが僕たちに受け継がれています。もちろん当時の世代は、もっと世界との差があったと感じたかもしれないですけど、そういうものが先輩たちのおかげで受け継がれて、僕たちの世代は海外に行けて、日本のマーケットも大きくなってきているので、もっと世界に近づいている感覚があります。全選手がそれ(W杯優勝という目標)を現実的だと本当に感じている。僕はフカシみたいなことは言わない。本当に思ったことしか言わないので、心の底から思っていることですね」

 W杯という誇り高く、尊い舞台の価値を真正面から受け止め、そこで頂点を極めることに情熱を燃やしているのが今の日本代表だ。最高の景色を見るという目標から逆算して何をすべきか、選手たちは地に足をつけて考えている。そして、目の前の1試合を大切に全力で戦い、これまで日本サッカーの歴史を紡いできた先人たちの思いも受け継ぎながら一歩ずつ前に進んでいく。

 本当の戦いはここから始まる。最後に日本代表の8大会連続W杯出場権獲得という大きな一歩をキャプテンとしてけん引した遠藤の言葉を借りて締めとしたい。

「期待してもらっているのは、いいことだと思っています。その期待に応えるために僕たちが結果を残さなきゃいけない。もしかしたらアジア最終予選を突破するのは当たり前だと思ってくれている方が多いのかなと思います。もちろん実際にそれを実現し続けるのはそんなに簡単じゃないというのはありますけど、ファンの皆さんが感じていることに対して、自分たちが結果を合わせていくべきだなと。期待を裏切らないように常にやっていくべきだし、W杯に出ていくことだけが目標ではなく、やっぱりW杯で何を残せるかが日本代表の次の段階なのかなと思うので、そこはあらためて期待していただければいいかなと思っています」

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著者プロフィール

1994年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学スポーツ科学部卒業。大学1年次から取材・執筆を開始し、現在はフリーランスとして活動する。世界20カ国以上での取材を経験し、単なるスポーツにとどまらないサッカーの力を世間に伝えるべく、Jリーグや日本代表を中心に海外のマイナーリーグまで幅広くカバーする。

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