週刊ドラフトレポート2025(毎週金曜日更新)

最注目は158キロ右腕・石垣元気(健大高崎)と右の大砲・立石正広(創価大) 2025年ドラフト有力選手は?

西尾典文

2025年ドラフトで最注目の健大高崎・石垣元気(左)と創価大・立石正広 【撮影:西尾典文】

 ドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートするコラム。18日に選抜高校野球も開幕し、2025年のドラフト戦線も動き出したということで、今回は今年の主な有力選手を高校生と大学生・社会人に分けて紹介する。

投手に好素材集まる高校生、剛腕・石垣が頭一つリード

 今年の高校生投手で真っ先に名前が挙がるのが健大高崎のエース、石垣元気だ。全国から有望選手の集まるチームにあって入学直後から公式戦で登板し、当時から140キロを超えるスピードをマーク。昨年春の選抜でも5試合全てに登板してチームの初優勝に大きく貢献した。秋の関東大会の等々力球場でマークした158キロは誤計測だと本人は謙遜しているが、力を入れればいつでも150キロを超える出力の高さは高校生として圧倒的。フォームに目立った悪いクセがなく、コントロールと変化球も着実にレベルアップしている印象だ。高校生全体で見ても現時点では頭一つ抜けた存在であり、順調にいけば上位指名の可能性は極めて高いだろう。

石垣は高校生全体で見ても現時点では頭一つ抜けた存在 【撮影:西尾典文】

 石垣に続く高校生投手としては芹澤大地(高蔵寺)、森陽樹(大阪桐蔭)、福田拓翔(東海大相模)、藤川敦也(延岡学園)、中西浩平(豊川)の名が挙がる。中でも早くから評判になっていたのが森と福田の二人だ。森は中学時代に軟式で140キロを超えるスピードをマークするなど、当時から注目を集めていた大型右腕。昨夏の大阪大会決勝では東海大大阪仰星を相手に15奪三振で完投勝利をおさめている。安定感には課題が残るもののスケールの大きさは抜群で、近畿では最注目の存在と言える。福田も入学直後から145キロを超えるスピードをマークしている本格派右腕。昨夏は藤田琉生(日本ハム2位)との二枚看板で神奈川大会を制し、甲子園でも好投を見せた。秋は少し調子を落としていただけに、春の復調に期待したい。

 九州で大器と評判なのが藤川だ。2年春には早くも150キロを超えると、選抜優勝の健大高崎との招待試合でも3回を無失点と好投。九州のスカウト陣からは頻繁に名前を聞く存在となった。秋は肘を痛めた影響で本調子ではなかったが、フォームもバランスが良いだけに順調にいけば高い注目を集めることは間違いないだろう。

 この春に浮上してきたのが中西だ。昨春の選抜ではリリーフとして登板し、1回1/3を投げて5失点とほろ苦い甲子園デビューとなったが、その後は順調に成長。この春に行われた滋賀学園との練習試合では150キロもマークしてスカウト陣を驚かせている。躍動感あふれるフォームでバネがあり、まだまだスケールアップしそうな雰囲気は十分だ。

 ここまで挙げた中で唯一の左腕で、しかも県立高校所属ながら高い注目を集めているのが芹澤だ。昨夏には評判を聞いた侍ジャパンの井端弘和監督も視察に訪れており、その試合で145キロをマーク。秋もチームは県大会初戦で敗れたものの、芹沢自身は6回を投げて10奪三振、無失点と圧巻の投球を見せている。細身だがシャープな腕の振りで変化球もレベルが高い。プロ志望ということになれば上位指名の可能性も高い。

 一方の野手は現時点で上位指名確実と言い得る選手が不在。そんな中でプロからの需要が高い二遊間の大型選手としては選抜にも出場する蝦名翔人(青森山田・二塁手)と赤埴幸輝(天理・遊撃手)が候補となる。蝦名は巧みなリストワークでセンター中心に強い打球を放ち、大型でも軽快なフットワークが光る。赤埴も大型ショートながらプレーの丁寧さと、スピードが持ち味だ。選抜のプレー次第で一気に評価を上げる可能性もありそうだ。

 同じくプロが高く評価することが多い右のスラッガータイプでは西田瞬(浦和学院・二塁手)、高田庵冬(仙台育英・三塁手)、桜井ユウヤ(昌平・三塁手)などの名前が挙がる。いずれも守備や確実性などは課題が残るものの、とらえた時の打球の速さは目を見張るものがあるだけに、この冬での成長ぶりに期待したい。

 最後に投打両面で高いポテンシャルを誇るのが新井瑛太(滝川・投手兼外野手)だ。中学時代は福田と同じチームで目立つ存在ではなかったというが、高校で大きく成長。昨年夏も投打に他界パフォーマンスを見せた。投手としても150キロを計測するスピードを持つが、現時点ではミート力とパワーを兼ね備えた打者としての方がより魅力を感じる。昨年も投打二刀流の森井翔太郎(桐朋高→アスレチックスマイナー)が高い評価を得ただけに、新井も注目を集めることになるだろう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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