前回大会を制した健大高崎のエース石垣に次ぐ存在は? 識者が選ぶセンバツの注目投手10選

西尾典文

2年春の選抜で全5試合に登板して健大高崎を初優勝に導いた石垣。コンスタントに150キロ台をマークする豪腕には、メジャー球団も強い関心を寄せる 【写真は共同】

 3月18日に開幕する第97回選抜高校野球。ここでは高校球界に詳しい西尾典文氏に、出場32校の中から特に注目すべき選手をピックアップしてもらう。まずは投手編として10人を厳選して紹介。昨年の選抜で初優勝を飾った健大高崎、昨秋の明治神宮大会を制した横浜からは、それぞれ2人の逸材が選ばれた。

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石垣元気(健大高崎/3年/右投)

 投手・野手を問わずに今大会最大の注目選手と言えるのが、この健大高崎のエース右腕だ。昨年の選抜では5試合全てに登板してチームの初優勝に大きく貢献。続く夏の甲子園でも最速153キロをマークして大きな話題となった。

 入学当時からストレートは140キロを超えていたが、そこから順調にスピードアップを果たしており、ギアを上げたときはコンスタントに150キロ台を叩き出す。悪いクセのないフォームでコントロールを乱すようなこともない。今大会の活躍次第ではドラフト全体の目玉となる可能性もあるだろう。

織田翔希(横浜/2年/右投)

昨秋の明治神宮大会で横浜の優勝に貢献した織田は、長いリーチを生かした鋭い腕の振りから伸びのある速球を投げ込む。カーブやチェンジアップなど変化球も多彩だ 【写真は共同】

 下級生ながら石垣に次ぐ注目度の高さだ。福岡県の足立中時代から評判の投手で、高校進学時には全国の強豪から誘いがあったという。名門横浜に進学すると、入学直後から投手陣の一角に定着。昨年秋には背番号こそ10番ながら大事な試合で先発を任され、チームを27年ぶりの明治神宮大会優勝に導いた。

 体つきはまだ細身だが、長いリーチを生かした鋭い腕の振りと、抜群の指先の感覚が光る。昨年秋の関東大会決勝では石垣とハイレベルな投げ合いを演じ、明治神宮大会でも2回戦で明徳義塾を完封するなど試合を作る能力も高い。順調にいけば26年ドラフトの主役となるはずだ。

阪下漣(東洋大姫路/3年/右投)

スライダーやカットボールといった持ち球をコーナーに投げ分ける抜群の制球力が自慢の東洋大姫路・阪下。冬の下半身強化で球速アップも期待できる。 【写真は共同】

 甲子園のある兵庫県西宮市の出身で、西宮ボーイズ時代から関西では評判だった右腕。1年秋にはエースになり、昨年秋の公式戦では12試合に登板して防御率0点台という見事な投球でチームを近畿大会優勝に導いた。

 最大の魅力は高い制球力で、左右のコントロールを投げ間違えるケースがほとんどない。近畿大会の大阪学院大高戦では90球で完封、明治神宮大会の聖光学院戦でも5回を44球で完封(コールド勝ち)と圧巻の投球を見せた。ストレートは秋の時点で140キロ前後と少し物足りなかっただけに、一冬を越えてどこまでスピードアップしているか注目だ。

矢吹太寛(東海大札幌/3年/左投)

先発でもリリーフでも結果を残せるのが、東海大札幌・矢吹の魅力だ。投球術に長けた今大会屈指の左腕は打撃も良く、登板しないときは外野を守る 【写真は共同】

 北海道苫小牧市出身のセンスの高さが光る左腕。小学6年生のときに日本ハムジュニアとして12球団ジュニアトーナメントに出場した経歴を持つ。東海大札幌でも1年夏から登板し、昨年秋は背番号7を付けて先発、リリーフにフル回転。明治神宮大会でも2試合、7回を投げて無失点と好投を見せた。

 細身ではあるが、力を入れたときのストレートは140キロを超え、カーブ、スライダー、チェンジアップなど全ての球種をしっかり操ることができる。先発でもリリーフでも力を発揮できるという点は大きな魅力だ。今大会に出場する左腕では屈指の存在と言えるだろう。

下重賢慎(健大高崎/3年/左投)

昨夏の群馬大会で10者連続奪三振を記録し、大きな話題を呼んだ下重。石垣と二枚看板を形成するサウスポーが、大会連覇を狙う健大高崎のキーマンだ 【写真は共同】

 エースの石垣とともにプロスカウト陣の熱い視線を浴びるサウスポー。昨年の選抜ではメンバー外だったものの、それ以降に急速な成長を遂げ、夏の群馬大会初戦では大会記録となる10者連続奪三振を記録して話題となった。秋の新チームからは石垣と二枚看板を形成して選抜出場にも大きく貢献している。

 早めに肘をたたむボールの出所が見づらいフォームから、140キロを超えるストレートと多彩な変化球を操る投球は安定感十分だ。特にブレーキのあるツーシームは高校生レベルではなかなか見られない。大会連覇を狙うチームにとってキーマンと言える存在だ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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