センバツ優勝候補・横浜と健大高崎を徹底比較 秋の全国王者か、大会連覇がかかる前年覇者か

大利実

横浜の織田(左)、健大高崎の石垣(右)はどちらも今大会注目の右腕。両チームとも他にも好投手を抱えており、ピッチャー陣は強力だ 【写真は共同】

 3月18日に開幕する「第97回選抜高等学校野球大会」。優勝候補の一角に挙がるのが、昨秋の明治神宮大会を制した横浜(神奈川)と、史上4校目の春連覇を目指す健大高崎(群馬)だ。両校は昨秋の関東大会決勝でぶつかり、タイブレークにもつれ込む熱戦の末、横浜が4-3でサヨナラ勝ちを収めている。選抜で“再戦”があるとすれば準決勝。さまざまな面から、チーム力を比較してみたい。

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どちらもドラフト候補を擁する投手陣が最大の強み

横浜の左腕エース奥村頼は、昨秋の公式戦で34回3分の1を投げて自責点はわずか1。安定感が際立つ 【写真は共同】

 両校ともに、「最大の強み」と言えるのが投手力だ。昨秋のチーム防御率を見ると、横浜が0.38で健大高崎が0.95と、抜群の安定感を誇る。

 横浜は先発型の右腕・織田翔希(新2年)、走者がいる場面で力を発揮する左腕・奥村頼人(新3年)、昨秋に急成長を遂げた左腕・片山大輔(新3年)の3人が中心。昨秋の健大高崎戦では、織田が7回途中まで試合を作り、片山が左打者2人を抑えたあと、8回から奥村頼につないだ。

 来年のドラフト上位候補の織田は、スピンの効いた最速150キロのストレートをストライクゾーンにテンポよく投げ込み、カーブとチェンジアップでタイミングをずらす正統派の右腕。関東大会の決勝は連投となったこともあり、6回から球速が落ち、7回に2点を失った。試合後、村田浩明監督は「継投のタイミングが遅かった。私のミス」と語っていた。投手層が厚いだけに、継投がカギを握る。

 奥村は、中軸も任される投打の柱。「試合に出ていたほうがいいタイプ」(村田監督)と、あえてピッチャーに専念させていない。「織田は失点するけど、自分はしない。ゼロにこだわりたい」と、後輩にライバル心を燃やす。

右腕の石垣(左)、左腕の下重(右)と、健大高崎は1試合を任せられる投手を2人有する 【写真は共同】

 健大高崎は、150キロ台前半の速球が武器の右腕・石垣元気(新3年)と、変化球のキレが秀逸の左腕・下重賢慎(新3年)が軸。昨秋の関東大会では、初戦から下重、石垣、下重、石垣のローテーションを組み、準優勝した。

 速球が注目される石垣だが、課題だった変化球の質も上がっている。横浜戦では準々決勝(対佐野日大)では1球も投げていなかったスプリットを投げ、横浜打線を苦しめた。それだけ、「横浜を意識していた」と見ることもできる。

 下重は、すぐにでも大学のリーグ戦で投げられそうな実戦派。右打者はもちろん、左打者のインコースをグイグイと攻められるコントロールを持ち、特にツーシームの精度が高い。横浜戦では打者7人をパーフェクトに封じ込めた。「下重の成長が非常に大きい」と、青栁博文監督も厚い信頼を寄せる。

 層の厚さ、起用のバリエーションという点では横浜に分があるが、強力な左右の両輪を擁する健大高崎も負けておらず、投手力はほぼ互角と見ていい。ただ、大会直前になり、石垣が左脇腹を痛め、万全のコンディションではないのは気になる点だ。スライダーが武器の島田大翔(新3年)、緩急自在のピッチングが持ち味の山田遼太(新3年)の活躍も、連覇のカギとなる。

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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