ソシエダも相次ぐ“VARスキャンダル”の犠牲に……怒りと無力感で体が震えるほどの酷さだ
敗れたソシエダにとって唯一の収穫は
「How much you paid the ref?」(いくら主審に払ったんだい?)
勝ったマンUの選手たちから見ても、身贔屓(びいき)なジャッジだったことは明らかであったのだろう。
一方、ベスト8入りを断たれたソシエダにとって、この試合に何かしらの収穫を見いだすとすれば、それはアルグアシル監督が継続の可能性を示唆したことかもしれない。
試合後の会見で、「今日がヨーロッパでソシエダの指揮を執る最後の試合になったのか?」と記者に聞かれたアルグアシルは、「そうじゃないことを願うよ」と答えている。
一部報道によると、「契約更新のオファーがあれば、4月末あるいは5月上旬に回答する」と話したとも伝えられる。クラブが後任の監督を探しているという話も聞こえてこないだけに、どうやら続投の可能性が濃厚なようだ。そうなれば、久保建英の去就にも影響を及ぼすかもしれない。
5分という長い検証の末にやり直しを
65分に浅野拓磨の鮮やかなダイビングヘッドでマジョルカが同点に追いつき、迎えた終了間際だった。ホームチームにPKが与えられる。ヴェダト・ムリキが放ったシュートはエスパニョールのGKジョアン・ガルシアがストップしたのだが、VARからの指摘を受けた主審が実に5分という長い検証の末に、やり直しを命じる。すると今度はムリキがきっちり決めて、マジョルカが土壇場で勝利を手にしたのだ。
PKを蹴った瞬間に、エスパニョールの2人の選手の足がペナルティーアークに入っていたというのがやり直しの理由だったが、それにしても最終的なジャッジを下すまでに時間がかかりすぎだ。勝ったマジョルカのハゴバ・アラサテ監督でさえ、「昨今のジャッジの良くないところだ。気に入らない。VARの介入が多すぎるし、不透明な時間が長すぎる」と不満を口にしている。
とはいえ、この勝利でマジョルカは、残留確定まであと1ポイントにまで迫った(第28節終了時で勝点40の7位)。第26節のアラベス戦に続いて今シーズン2点目となるゴールを決めた浅野について、アラサテ監督は嬉しさを隠すことなく賛辞のかぎりを尽くしている。
「我々は今シーズンの大半をタク(浅野)抜きで戦わなくてはならなかったが、(故障が癒えた)今、彼はチームに貴重なゴールをもたらしてくれている。今日も鋭敏な動きでスペースをうまく生かし、素晴らしいゴールを決めて、我々を助けてくれた。良くない状況でも観客を盛り上げてくれる存在だ」
残り10節となったラ・リーガ。開幕前に目標に掲げていた二桁得点も夢ではないと思えるほど、今の浅野は勢いに乗っている。
(企画・編集/YOJI-GEN)