宇都宮ブレックスの比江島慎が初のMVP受賞 個人としてもチームとしても充実した2月を回想

大島和人

例年以上にリーグ制覇への思いは強く

「一緒に戦ってください」とBREX NATIONに共闘を呼びかけた 【(C) B.LEAGUE】

――2月は9日までの短期間に4試合が組まれて、その後はバイウィークでリーグ戦でした。中断時期はどう過ごしましたか?

 自分は休みをいただいたので、バスケから離れて身体を休ませて、蓄積した疲労を抜いて、それから練習に入りました。休みは1週間くらいありましたが、栃木からは出ていないです。

――例えば、イチゴ狩りをしたとか、温泉に行ったとか……。

 いやいや、特に何かしたとか、無いです(苦笑)。バスケ以外の仕事があったので、それもやりつつ……という感じです。

――久しぶりの「代表に招集されないバイウィーク」だったと思いますが、感覚はどうでしたか?

 これまでにケガをして代表に参加できないとかはありましたが、健康的な状態では初めてです。バイウィークが終わってからの1試合目は難しかったというか、いつもと感覚が違った感じでした。でも年を重ねて身体を休めることも重要なので、休めて良かったと思っています。

――アジアカップ予選の中国戦(2月20日/58●100)、モンゴル戦(2月23日/89◯79)はご覧になりましたか?

 もちろん、見ました。中国は完璧に仕上げていたと思いますし、日本も新しい選手が多い中で、トム(・ホーバス)さんのバスケは簡単にはできないんです。経験がある選手もいましたが、そうは言っても相手が中国ですし、フィジカル的に挑んできました。もっとペイントエリアにタッチしたりするようなプレーが、中国のように大きくてパワーのある相手には必要になってくると思います。でも、それができたときは良い形になっていました。

 モンゴル戦は相手にスキルのある選手も多かったですし、アウェーの難しい試合でしたが、課題は改善されていました。1試合目より2試合目の方が状態も良かったし、何より勝てたことが良かったと思います。

――「自分がプレーしていたら」みたいな感覚はなかったですか?

「僕がいないとダメだな」とかは無いですけど、「僕だったらこうする」という見方はしました。2番、3番の選手はどのタイミングでドライブしたらいいか、多分まだ感覚をつかめていないと思います。僕もワールドカップ予選は1回も「ハマった」という感覚が無くて、本大会直前の練習試合くらいまで掛かりました。トムさんのスタイルで最初からできる選手はそういないので、試合を重ねながらやってほしいし、それぞれの選手にもチャンスがあると良いなと思います。

――ブレックスはチャンピオンシップの常連ですし、現在も東地区首位です。3月5日のアルバルク東京戦は残念な結果(61●63)でしたが、終盤戦に向けて「ここはまだ良くできる」という部分はありますか?

 A東京戦はブレックスのディフェンスがすごく集中していました。ただ僕たちが弱点としているようなフォーメーションをやられたときの対応が難しかったところもあります。そこは本当に改善しなければいけません。あとはリバウンドに対する意識が大切で、リバウンドで負けてしまうとなかなか勝てません。

 僕たちは3Pシュートを主体としているチームですが、それが入らないときに、しっかり2Pシュートやフリースローで我慢して戦わないといけない時間帯もあります。天皇杯(3次ラウンド)でも群馬にやられてしまいましたし、課題はまだ残っています。そこを修正していければ、もっと優勝に近づけると思います。

――「チャンピオンシップを勝ちたい」という思いは、例年以上に強まっているのではと思います。

 それはもうチーム全員に、間違いなく共通認識としてあることだと思います。難しい状況なのは間違いないですが、ヘッドコーチが託してくれた、築き上げてくれたこのスタイルで優勝したい思いは強いです。

――ブレックスのファン、BREX NATIONにメッセージをお願いします。

 本当に難しい状況ですが、今後も皆さんの支えや応援が必要です。僕自身もっと勝利に貢献できるようなパフォーマンスができたらいいなと思います。一緒に戦ってもらえたらと願っています。

――比江島選手を最近見かけなくて寂しい……という日本代表ファンにもお願いします。

 僕は(日本代表)引退とかそういうことではないです。でも今は新しい選手が招集される時期でもあり、最初から上手く行くチームなどどこにもないと思います。今は次のワールドカップやオリンピックで勝つための期間です。次は(2025年8月に)FIBAアジアカップもあって、そこに誰が出るかは分からないですけど、(新しい選手が)すごくいい経験をする場所でもあると思います。誰が出ても、チーム一丸、日本一丸となって応援していただければと思います。

2/2ページ

著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント