投球アナリスト・ピッチングニンジャが選ぶ“圧倒的なボール”とは? 話題の球種キックチェンジも解説

丹羽政善

来日トークショーに臨むピッチングニンジャことロブ・フリードマン 【提供:ファナティクス・ジャパン合同会社】

 3月16日、東京・渋谷駅近くにある「Or Tokyo in Miyashita Park」にてMLB東京シリーズに向けて来日したピッチングニンジャこと、ロブ・フリードマンの招待客限定の来日記念トークショーが行われた。あいにく朝から冷たい雨が降って出足が心配されたものの、事前抽選の当選者と当日観覧者を合わせた50名以上が、「キックチェンジってなに?」といったマニアックな話に聞き入った。

 招待されたのは20組40名。しかし、実際には10倍の応募があったとのこと。

「日本にもフォロワーがたくさんいるので、ある程度は、埋まるかなと思っていたけど、倍率が10倍だったときいて嬉しかった」とはピッチングニンジャ。

「しかも、来てくれた人たちは、みんな知識があって驚いた」という。「アメリカのファンは、もっとストレートにファンのチームを応援する。でも、日本のファンは、データのことにも興味を持って、野球を見ているような印象を持った」

注目の球種・キックチェンジとは?

さて、約1時間のトークショーのトピックは、多岐に渡った。

・キックチェンジとはなんですか?
・メジャーでもっとも圧倒的なボールは?
・ケガと球種の関連は?
・日本人とアメリカ人、体の違いは? メカニックの違いは?


 すべては紹介しきれないので、印象的なものに絞り込んだ。

 まず、最初のキックチェンジは、参加者からの質問だった。それだけで集まった人たちの知識レベルが知れるが、これは、去年ぐらいから球に広まったチェンジアップの新グリップ。サークルチェンジのような握りだが、そのとき、中指をボールに立てて投げる。

 クレイ・ホームズ(メッツ)らが得意とするが、通常のチェンジアップとは違って、真っ直ぐを投げるのと同じように投げるだけであり、投げ方が簡単な割には球速も出て、落下幅も大きくなる。もちろん、変化量には個人差があるが、投げるのが容易な点で今後、日米で爆発的なトレンドになりそう。中継などでも今後、耳にすることが多くなるに違いない。

 圧倒的なボールは? という質問にピッチングニンジャが選んだのは、デビン・ウィリアムズ(ヤンキース)のエアベンダーだった。ピッチングニンジャ自身が名付けたのだが、基本的にはチェンジアップ。しかしピッチングニンジャは、「3000回(1分間=以下同)転近いチェンジアップなんて、ありえない。しかし、彼の特殊なアームアングルが、鋭い変化を生んでいる」と説明した。

 落ちる球といえば、回転数を抑え、重力を利用するのが一般的。佐々木朗希(ドジャース)のフォークなど、平均回転数は600回前後。通常は1100〜1400回転なので、これはこれでありえない数字だが、ウィリアムスの場合、独特のリリースポイントにより、回転数がそのまま落下に影響を及ぼしている。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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