投球アナリスト・ピッチングニンジャが選ぶ“圧倒的なボール”とは? 話題の球種キックチェンジも解説

丹羽政善

日本人とアメリカ人の体の違い

イベントにはスペシャルゲストとしてマック鈴木氏(中央右)、村田洋輔氏(右)らが登壇 【提供:ファナティクス・ジャパン合同会社】

 ケガと球種の関連に関しては、「少し前まで、『スプリットは肘に負担がかかるから投げるな』と言われた。しかし、メジャーリーグに来る日本人投手が、ことごとくその球を武器に成功した。科学的な証拠もなく、スプリットとケガの関連は証明されなかった。それで、メジャーにも投げる投手は増えたが、いまも数は少ない」とピッチングニンジャ。

「結果的にメジャーは遅れをとった。それでもちろん、さまざまなチェンジアップが進化した、という面はあるけれど」

 余談だが、アスレチックスなどでプレーしたダン・ヘイレンはカージナルス時代、「スプリットは投げるな」と言われ、チェンジアップの習得を目指したが、断念。アスレチックスにトレードされた後、「どんな球種を投げられるのか?」と聞かれ、「スプリット」と答えると、「じゃあ、投げてみろ」と言われたそうだ。結果、スプリットが彼の代名詞となり、彼のキャリアは、飛躍的にステップアップを遂げたのだった。

 最後に、日本人とアメリカ人の体の違いについて。これは、同じくゲストとして登壇した元メジャーリーガーのマック鈴木氏の考察に、ピッチングニンジャが唸った。

「彼の解釈は面白かった。消しゴムを拾う時、アメリカ人は腰を曲げて拾う。日本人は膝を曲げて拾う。そこに体の違い、膝や足首の使い方の違いがある、とのことだった。それが、投球フォームの違いも生み出しているようだ」

 日米でプロ経験があるマック鈴木氏らしい視点だった。

 さて、トークショーの後、サイン会と撮影会が行われたが、そこでもう一度、ピッチングニンジャは驚くことになる。

「6歳の女の子が来てくれていた。こんな小さい子が、興味を持ってくれているなんて、本当に感激した」

 マック鈴木氏と3人で撮った写真は、最高の思い出になった。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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