“完璧”なフォルティウス、失敗を糧にするロコ・ソラーレ 激戦の日本選手権、6チームの行方は?

竹田聡一郎

フォルティウスに油断なし、黄金世代対決は再び

唯一の全勝で2次リーグ進出を決めたフォルティウス 【写真は共同】

 Bブロックはフォルティウスが4連勝で首位通過を果たした。初戦を勝利で終えた直後、スキップの吉村紗也香はチームメイトに「すごい楽しかった!」と感想を漏らしたほど、よく曲がるアイスと、ほぼ満員の会場でのカーリングを楽しんだ。
 アイスリーディングを進めながら、リードの近江谷杏菜、セカンドの小谷優奈、サードの小野寺佳歩がアイスの状況に合わせてショットメイクができている印象だ。

 4戦をこなしてLSD(※)はすべて相手を上回り、DSCは参加10チームでトップ。後攻を持ってスタートした全4試合の第1エンドはすべて得点を挙げ、1次リーグを通してただの1度もリードを奪われていない。完璧な戦いで強さを示している。

 しかし、充実した戦いを見せてもチームには達成感も油断もない。「明日からもその日のその試合のアイスを読んで、ショットを繋げていく」と吉村。「感覚的に気持ちよく投げられないショットも個人的にはいくつかあった。満足はしていない。(2次リーグは)強豪だらけなので、さらにもう一段階ショットを繋げていく」と小野寺は気持ちを引き締めた。

 フォルティウスに続く2チームだが、2勝2敗でチーム御代田、フィロシーク青森、SC軽井沢クラブが並んだ。直接対決でも1勝1敗と成績が同位のため、LSDの結果、ディフェンディングチャンピオンのSC軽井沢クラブが敗退。チーム御代田が2位、フィロシーク青森が3位で2次リーグ進出を決めた。

 チーム御代田のスキップ土屋海は「ベストを尽くしてできる限りいい試合ができるように頑張りたい」と控えめ。1次リーグではフォルティウス吉村と、2次リーグではロコ・ソラーレの藤澤、吉田知那美、鈴木夕湖らとの“カーリング黄金世代”同士の対戦が続くが「すごい懐かしい思い。単純に嬉しいですね」と声を弾ませた。

 フィロシーク青森は、2年前の日本選手権ではプレーオフでSC軽井沢クラブに惜敗。昨年は東北予選を抜けることができず、日本選手権には届かなかったが今大会でリベンジを果たした。昨シーズンから情報収集の量を上げて、チームで話し合う機会を増やしてきたという。

「その話し合いが今大会で活きている」とフォースの田中美咲。2次リーグに向けては「どのチームも強いと認識しているので食らいついていく。最後まで諦めずに集中してプレーする」と語った。

 6日から始まる2次リーグは1次リーグで同ブロックだったチームとの再戦はなく、2次リーグ進出チーム同士の対戦成績が持ち越される。

 つまり、北海道銀行とフォルティウスが2勝。ロコ・ソラーレ、チーム御代田、フィロシーク青森が1勝1敗。札幌国際大が2敗。この星取り状況から各チームが逆ブロックを抜けてきた3チームと戦い、計5試合の勝敗上位3チームがプレーオフに進出することになる。

 まずは6日朝9時から、北海道銀行 vs. フィロシーク青森、ロコ・ソラーレ vs. チーム御代田、フォルティウス vs. 札幌国際大の3試合が行われる。

※試合前練習後にドロー(Last Stone Draw) を投げ、中心からの距離が近いほうが後攻を持って試合をスタートできる。その平均値を「DSC」(Draw Shot Challenge)と呼び、勝敗などが並んだ際に順位をつける数値となる。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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