三遠ネオフェニックスのデイビッド・ヌワバが初のMVP受賞 チーム好調の要因は「早い段階でケミストリーを構築できたから」

大島和人

三遠としても初のMVPを受賞したデイビッド・ヌワバ 【(C) B.LEAGUE】

 Bリーグの月間MVPに相当する「B.LEAGUE Monthly MVP by 日本郵便」は、選考委員長の佐々木クリス氏をはじめとした選考委員による合議で決定している。2024年12月の月間MVPは11月30日も含む12試合の活躍から選考され、三遠ネオフェニックスのデイビッド・ヌワバ選手が選出された。

 ヌワバはアメリカ・ロサンゼルス出身の32歳で、196センチ99キロのウイングプレイヤーだ。これまでのキャリアを主にNBAとNBA Gリーグで過ごし、2024-25シーズンに初来日を果たした。中地区首位を走るチームを引っ張る大活躍を見せた。

 ヌワバは守備力、速攻の先頭を切るスピード感あふれるオフェンスが印象的なアスリートで、三遠のスタイルにもフィットしている。今回のインタビューはそんな彼にチーム好調の背景、チームメイトコーチの印象、彼自身のパーソナリティについて聞いている。

「常にDFからのオフェンスを考えています。DFが一番の強みだと感じています」

ディフェンスが強みだと語るヌワバ 【(C) B.LEAGUE】

――2024年12月の「B.LEAGUE Monthly MVP by 日本郵便」受賞、おめでとうございます。ご感想をお願いします。

 もちろんこの賞をいただけて嬉しく思いますし、私を認知してもらったことも嬉しいのですが、チーム全体で獲った賞だと感じています。チームがハードワークをして結果を出したから、自分はこの賞を獲れたはずです。チームメイトだけではなく、コーチ、スタッフ、そしてブースターの皆さんのおかげでもある。だから「みんなで獲った賞」だと感じています。

――ヌワバ選手はロサンゼルス出身と聞いています。火災で深刻な被害が出てしまいましたが、ご家族は大丈夫でしたか?

 家族は現場から45分くらいの距離に住んでいるので、安全の確認は取れています。ただ妹の通っていた高校がちょうど被害を受けた地区にあって、校舎が火事で無くなってしまいました。彼女の暮らし慣れていた地域がすべて焼けてしまい、とても悲しいことが起こりましたが、幸いにして家族はみんな無事です。

――Bリーグに外国籍選手はアジャストに時間のかかるケースが多いです。ヌワバ選手はNBAやGリーグで長くプレーして、ルールの違いもありました。そのような中で実力を発揮し、早くも3カ月目でこのような結果を出せた理由は何ですか?

 ディフェンス(DF)のアジャストが必要でしたし、オフェンス面もプレースタイルが違うのは身に沁みて分かっていることです。ただチームのケミストリーが上がれば、自然とアジャストしやすくなっていきます。コーチ陣からは常に細かく教えられていますし、チームメイトから学ぶことも多いので、そんな環境のおかげで、アジャストしやすくなっているのかなと感じます。

――今の話にも重なりますが、今シーズンの三遠がこれだけ良い結果をここまで残せている理由をどう分析しますか?

 早い段階でチームのケミストリーができていたところもあると思いますし、みんながしっかりDF、その他のルールに則ってプレーをしていることも大きいですね。チーム内で共通理解を持てています。あとはやはりいい選手が揃っている。その全てのおかげで、今はいい流れが来ているのかなと思っています。

――12月の三遠戦は1試合現場で見ましたが、ヌワバ選手のブレイクは印象的で、そこは間違いなく強みだと思いました。ヌワバ選手自身が考えるご自身の強みは何ですか?

 まずはDFで、DFからファストブレイクに持って行くことが得意だと思っています。もちろん、ドライブレーンが空いていたら、いつでもアグレッシブに狙っていこうとしていますが、常にDFからのオフェンスを考えています。DFが一番の強みだと感じています。

――ヌワバ選手にとって、12月のベストゲームを一つ挙げてもらえますか?

 浜松で行われた越谷戦(12月15日/89-86)です。第4クォーター開始時点で10点差を追う展開だったのですが、しっかりDFで相手のオフェンスを食い止めて、逆転して勝ったことは印象が強いです。

――三遠はパリオリンピックに出場した吉井(裕鷹)選手ですとか、他クラブのファンもよく知っている選手がいます。ヌワバ選手が気に入っているチームメイトはいますか?

 思っていた以上にすごい選手だと思ったのは佐々木(隆成)選手です。スピードがあるとか、そういう評価は聞いていたのですが、想像以上に速かったですし、いろいろ引き出しがある選手でした。DFもすごく良くて、彼についてはすごく驚きました。あと湧川(颯斗)選手はシーズンの初めに比べて成長しているところが見えて、それもとても嬉しく感じます。

――対戦相手で 印象的だった選手はいますか?

 やはり私たちが結構やられてしまった富樫勇樹選手(千葉ジェッツ/12月7日の三遠戦で37得点)が印象的です。SR渋谷のジョシュ・ホーキンソン選手も素晴らしいですね。

 もちろん、リーグにはたくさん良い選手がいると思いますが、富樫選手はDFがどんな策を持っていても、それに対する「カウンター」を持っていました。前回の対戦時は自分が何度か付くチャンスもあったのですが、そこでシュートを決められてしまって、よく覚えていますね。

――大野篤史ヘッドコーチ(HC)は私たちにとってミステリアスというか、優しさと強さを両方感じるコーチです。ヌワバ選手から見てどういう人間、どういうコーチですか?

 大野HCから多くを学んでいますし、本当にいいコーチだと思っています。皆さんから厳しく見えたり、もしかしたら意地悪に見えたりするところもあるかもしれません。しかし自分のキャリアの中でも、本当にいいコーチだなと感じています。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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