欧州5大リーグ前半戦「日本人選手の活躍度ランキング」 堂安、久保らを差し置いて1位になったのは?

河治良幸

5位:佐野海舟(MF/マインツ)

欧州初年度ながら、好調マインツで主軸の1人に。リーグで2番目に多いデュエル勝利数が示すように対人守備の強さが際立つ 【Photo by Torsten Silz/picture alliance via Getty Images】

 オフ・ザ・ピッチの問題で話題を集めてしまったが、鹿島アントラーズからドイツに渡り、開幕戦から全ての試合でスタメン起用されている。しかも、大半の試合でフル出場しており、前半戦を5位で折り返した好調なチームにあって、間違いなく主軸の1人といえる。

 守備のデュエルにめっぽう強く、相手にカウンターからのチャンスを許さない一方で、攻撃の起点としてもしっかり機能している。攻撃面ではパスの正確性などに課題も見られるが、90分トータルでの強度も高く、このまま安定したパフォーマンスを続けることができれば、早期のステップアップ移籍も見えてくる。

4位:久保建英(MF/レアル・ソシエダ)

ここまでラ・リーガで得点が3、アシストはゼロと数字的には物足りなさもある。それでも多くの得点機に関与しており、貢献度は高い 【Photo by Juan Manuel Serrano Arce/Getty Images】

 本人も認める通り、序盤戦はチーム状態があまり良いとは言えず、それに引きずられるように個人のパフォーマンスもいまひとつだった。しかし、選手の噛み合わせが徐々に良くなっていくなかで久保の良さが出るようになり、チームの成績も上向いていった。期待値からすれば、18試合で3得点は物足りないかもしれないが、その全てが勝利に直結するゴールであるのは見逃せない。またチーム自体が堅守をベースとするなかで、複数のポジションで守備のタスクをこなしながら、多くの得点チャンスに絡んでいることは高く評価するべきだろう。

 ハイライトは11月28日のヨーロッパリーグ・アヤックス戦。鮮やかなパスで先制点をアシストし、さらに鋭いドリブルから左足でゴールを決めた。

3位:堂安律(MF/フライブルク)

前半戦を通じて説得力のあるパフォーマンスを見せた。ゴール数を自身初となる二桁に乗せることができるか 【Photo by Carmen Jaspersen/picture alliance via Getty Images】

 冬の中断期間までに5得点・2アシストと明確に結果を残し、攻守両面でインパクトのあるパフォーマンスを見せている。4-4-2、4-2-3-1、4-5-1とシステムが変わるなかでも、右サイドからの個の仕掛けはもちろん、前線やボランチとのコンビネーションでも攻撃にアクセントをつけられるのは強みだ。

 走力に特別秀でた選手ではないだけに、3-4-2-1のウイングバック起用が増えている森保ジャパンでは、守備のタスクと前めでの仕事のバランスが難しくなっている側面もあるが、相手陣内でプレーする時間が長ければ、それだけゴールに直結する働きができる頻度が高まる。オファー次第では冬のステップアップ移籍もあるか。

2位:中村敬斗(FW/スタッド・ランス)

王者パリSGから奪ったゴールも含め、第4節から5戦連発。リーグの得点ランキングで5位タイにつける 【Photo by Koji Watanabe/Getty Images】

 フランス2シーズン目は新監督の下でインサイドにポジションを取るケースが増え、開幕当初は戦術的な変化にやや苦しんでいる様子だった。しかし、リーグ・アン第4節に初得点を挙げると、そこから5試合連続ゴールを記録するなど、右の伊東純也とともに相手ディフェンスの脅威となっている。

 トップ下を置くシステムから4-3-3に変わり、中央にアタッカーが1枚しかいなくなったことで、自分が直接的にフィニッシュにかかわらないと得点が生まれにくいというチーム事情も、結果(ゴール)に対する責任感が増している要因だろう。現在7得点で二桁も見えてきたが、センターフォワードのウマール・ディアキテや伊東のゴールをアシストする回数を増やせれば、チームの躍進につながるはずだ。

1位:鈴木彩艶(GK/パルマ)

サスペンションで欠場した1試合を除き、ここまでセリエAの全試合にスタメン出場。失点こそ多いが、安定感に乏しいディフェンスラインの後方で奮闘している 【Photo by Image Photo Agency/Getty Images】

 ベルギーのシント=トロイデンから夏に移籍。GKに関しては世界で最も評価が厳しいとも言われるセリエAの舞台で、好セーブを度々見せている。身体能力の高さは欧州基準でも目を見張るレベルで、浦和レッズ時代から磨いてきたスキル、攻撃の起点を作るフィードなどで抜群の存在感を示す。そうした経験が、W杯最終予選を戦う日本代表にも還元されているのは素晴らしい。

 お世辞にも鉄壁とは呼べないパルマのディフェンスラインの背後で、失点シーンの一つひとつを現地メディアに論評されることも多い。しかし、例えば「破られてはいけないニアを破られた」といったディテールまで指摘されるのは、22歳とまだ若いGKが成長するうえで理想的な環境とも言える。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

セガ『WCCF』の開発に携わり、手がけた選手カード は1万枚を超える。創刊にも関わったサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で現在は日本代表を担当。チーム戦術やプレー分析を得意と しており、その対象は海外サッカーから日本の育成年代まで幅広い。「タグマ!」にてWEBマガジン『サッカーの羅針盤』を展開中。

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