欧州5大リーグ前半戦「日本人選手の活躍度ランキング」 堂安、久保らを差し置いて1位になったのは?

河治良幸

いわゆる5大リーグでプレーする選手に限定したランキングだ。2024-25シーズンの前半戦に最も活躍したと評価できるのは? 【Photo by Maja Hitij/Juan Manuel Serrano Arce/Ryan Pierse/Getty Images】

 サッカーのクラブシーンで世界の最前線と位置付けられる欧州5大リーグ。その舞台で奮闘する日本人選手の、今シーズンここまでのパフォーマンスはどう評価できるか。特に活躍が目立った10人をピックアップ。ランキング形式で、各選手の前半戦を振り返る。
※情報、データは2025年1月10日時点

10位:南野拓実(MF/モナコ)

3年目のモナコで相変わらずの存在感。全公式戦を通じて24年10月22日のCLレッドスター戦を最後に遠ざかっているゴールが望まれる 【Photo by Jonathan Moscrop/Getty Images】

 ザルツブルク時代から南野をよく知るアディ・ヒュッター監督の下、昨シーズンと同様に攻撃の中心としてモナコをけん引。4-2-3-1の2列目で、右・左・中央の3ポジションをこなし、大型FWのブレール・エンボロや10番のアレクサンドル・ゴロビンらと連係して多彩なフィニッシュワークを見せている。

 ただ、ここまでゴールやアシストといった数字がついてきておらず、リーグ戦での得点はサンテティエンヌをホームに迎えた開幕戦の1点のみ。モナコは現在、チャンピオンズリーグ(CL)出場圏内の3位だが、首位のパリ・サンジェルマンを迫っていくためにも、後半戦は南野の爆発的な活躍がほしいところだ。

9位:町野修斗(FW/ホルシュタイン・キール)

6得点はチームトップ。代名詞の「ニンジャポーズ」が後半戦は何度見られるか 【Photo by Roberto Pfeil/picture alliance via Getty Images】

 昨シーズンはドイツ北部の最果てにあるホルシュタイン・キールの1部昇格に大きく貢献。ブンデスリーガ1部初挑戦の今シーズンも、ここまで6得点と順調に結果を残しており、ゴール後の「ニンジャポーズ」もすっかり定着した。

 3-5-2の2トップの一角だけでなく、2列目で起用される試合もあるが、高い機動力を発揮してうまくこなしている。マルセル・ラップ監督は、前線の選手も広範囲を動き回ったり、流れのなかでポジションを入れ替えるスタイルを植え付けており、町野はそうした要求にも応じながら、決定的な仕事ができている。クラブでの経験は、復帰が期待される日本代表にも還元できるはずだ。

8位:伊東純也(FW/スタッド・ランス)

ここまで全試合スタメンで、S・ランスの攻撃陣を引っ張る。4アシストはリーグ7位タイだ 【Photo by Koji Watanabe/Getty Images】

 ルカ・エルスネル監督が就任1年目の今シーズン、チーム内で伊東が果たすべき役割は大きい。31歳という年齢になってもフィジカル面の衰えは見られず、そこに的確な判断力がプラスされている印象だ。

 チームの基本システムは4-3-3だが、オーソドックスなウイングプレーだけでなく、シャドー的な動きも求められるなかで、ボールキープ、ワンタッチプレーなどで右サイドバックの攻め上がりやボランチのフォローアップも引き出しながら、得意のドリブルを繰り出す。左の中村敬斗とのバランスもよく、対戦相手に的を絞らせないことがチームの強みになっている。

 ここまで3得点・4アシスト。代表活動がない1~2月は数字を伸ばすチャンスだろう。

7位:板倉滉(DF/ボルシアMG)

開幕からフル稼働。ボルシアMGの最終ラインを支えるセンターバックには風格さえ漂う 【Photo by Christian Verheyen/Borussia Moenchengladbach via Getty Images】

 不完全燃焼に終わった昨シーズンとは違い、ここまでリーグ戦フル出場を果たすなど、最終ラインの要としてほぼ完璧な前半戦だった。15試合で20失点というチームの失点の少なさも、板倉の貢献によるところが大きいだろう。

 流れに応じた柔軟なラインコントロールに加えて、相手のエース級の選手を止め切る対人守備など、チームにとっては頼りになる存在だ。後半アディショナルタイムにPKを献上して、2-3で敗れたホームのレバークーゼン戦をはじめとして、複数失点で負けたいくつかの試合で地元紙には厳しい採点や評価が並んだが、それもディフェンスリーダーの宿命と言える。

6位:三笘薫(MF/ブライトン)

序盤戦からキレのある動きを見せ、ブライトンの攻撃をリード。足りないのはゴールだけだ 【Photo by Robin Jones - AFC Bournemouth via Getty Images】

 昨シーズンは年末に足首を痛め、アジア杯明けに腰を負傷。残りのシーズンを棒に振ったが、怪我を乗り越えた今シーズンは31歳のファビアン・ヒュルツェラー監督が掲げる堅守速攻に適応し、攻守にわたるハードワークで勝利に貢献している。ボールを持って輝くだけでなく、タイミングよく動き出して、ファーストタッチで相手を外すプレーにも磨きがかかったのが見て取れる。なによりリーグ戦の全試合に出場できているのは大きい。

 ただ、存在感のあるプレーを見せるなかで、合計34本のシュートを放ちながら得点は3。本人もこの数字には満足していないだろう。チームの順位を上げるためにも、個人としての評価を高めるためにも、ゴールという結果に向き合っていくシーズン後半戦になりそうだ。

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著者プロフィール

セガ『WCCF』の開発に携わり、手がけた選手カード は1万枚を超える。創刊にも関わったサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で現在は日本代表を担当。チーム戦術やプレー分析を得意と しており、その対象は海外サッカーから日本の育成年代まで幅広い。「タグマ!」にてWEBマガジン『サッカーの羅針盤』を展開中。

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