下関ミッドナイトレース優勝戦 1号艇の守田俊介に乗り心地という最強の武器
【(C)BOATRACE 守田俊介】
こう話すのは滋賀支部の片橋幸貴。昨年7月のG2江戸川モーターボート大賞優勝によって、今年3月に若松で開催されるSGボートレースクラシックの出場権を得たが、これがSG初舞台。36歳にして到達した高みである。
「守田さんには遠く及ばないんですが、自分もほとんどプロペラをたたきません。整備の勉強をしたこともありますが、良くなることもあれば、悪くしてしまうこともあるのが調整や整備。だったら機力に応じて乗りこなす技術を身につけた方がいいと考えています」と真顔で語ってくれた。
「守田さんには遠く及ばない…」とは、プロペラ調整をせずとも互角以上の戦いを演じ、SGを2回も取った所属支部先輩レーサーに対する尊敬の表れ。周囲の動向に迎合しない姿勢への共感も含まれている。
「ピアニストは、バイオリニストのように自前の楽器を持ち歩くことができません。演奏会場のピアノを用いるしかない。もちろん調律はしてもらいますが、日ごろ練習しているピアノと感じが違うことがほとんど。ですから、そのピアノの個性に合わせ、弾き方を変えるのです」という東京芸術大学器楽科ピアノ専攻教授(取材当時)の話を伝えると、片橋幸貴は「そのとおりな感じです。自分の場合はいろんなタイプのモーターに乗ってきたことで幅が広がってきましたし、落ち着いてレースできるようになってきた感じです」と説明してくれた。そうした取り組みを示してくれているシンボル的存在が、同支部先輩の守田俊介なのである。
【(C)BOATRACE 守田俊介】
「舟足は普通で中堅くらいかな。いいのは操縦性。乗り心地がすごくいいです」とは、きょうの守田本人のことば。自在にボートを操ることができる条件はそろっており、優勝候補筆頭といっていいだろう。
「みんな、僕のことをプロペラ調整しない人と思っているんでしょうが、まったくやらないわけではありません。ほんとうに出ていなかったら、人が見ていないときに一瞬で仕上げるんです」と語る守田俊介。今シリーズは、その必要もなく、万全の態勢でファイナルに臨めそうだ。乗り心地という最高の武器とともに、今年最初のタイトルに挑戦する守田俊介。下関12R優勝戦の締切予定時刻は21時54分、注目したい。
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