今江敏晃・前楽天監督が侍ジャパンに熱視線! 中継ぎ転向させた藤平尚真に「ハマってますね」

三和直樹

今大会“無双”の藤平をリリーフに転向させた理由

今江監督の下でリリーフに転向した楽天・藤平が侍ジャパンの舞台でも躍動している 【Photo by Gene Wang/Getty Images】

 その今江氏が試合中に熱くなったのが、日本がリードを3点に広げた後の8回表の場面だった。

 主役は教え子である楽天の藤平だった。3番手としてリリーフ登板すると、打者3人に対して計12球で3者連続三振に仕留める圧巻のピッチングを披露。この“無双ぶり”に五十嵐氏が「今まで出てきたピッチャーの中でも圧倒的」と驚く中、今江氏も「ハマってますね。完全にゾーンに入ってます」と、チェコ戦、オーストラリア戦を含めて9者連続三振の快投を驚き混じりに喜んだ。

 だが今江氏は、驚くと同時に「彼のポテンシャルはものすごい。それをマウンド上で出せばこういう結果になっておかしくない」と納得の言葉も並べた。

 横浜高校からドラフト1位で入団して1年目に3勝、2年目に4勝を挙げながら、その後は結果を出せずに苦悩のシーズンが続いていた右腕について、今江氏は「先発ピッチャーの時は(球数が)100球を超えたぐらいから本調子になっていって、逆に球数が少ない時はしっくり来ないような状況が続いていた」とし、その原因を1週間に1回という先発投手の登板間隔にあると指摘。「(藤平は)ストイックな選手。探究心が強すぎる余り、1週間の間にいろいろと考えすぎていた」と分析する。

 その藤平を今季、先発から中継ぎに転向させた今江氏は、その理由について「投げる体力がものすごくある」とした上で、「中継ぎとして毎日試合に入って、毎日ボールを握っている方が彼はいいんじゃないか、合ってるんじゃないかと思った」と明かし、今季のブレイク(47試合20ホールド、防御率1.75)からの侍ジャパンでの快投を改めて喜んだ。

日韓戦で最も印象に残ったシーンは?

 その他、試合中はイニング間なども利用して様々な企画が実施され、トークも盛り上がった。その中で今江氏は「(シーズン中にお酒の)量は増えました」との話から、「投手の継投が一番難しかった」との新人監督としての苦悩を吐露。さらに開幕前に則本昂大にクローザー転向を告げた際に「僕も話しているうちに感情が高まって、最後は2人で涙して肩を抱き合った」という“熱い”エピソードなども明かされた。

 日本が6対3と勝利した試合終了後、侍ジャパンのこの日の戦いぶりについて今江氏は「改めて日本の野球の粘り強さを感じた」と評価した。印象に残ったシーンとして5回裏2死1、2塁から栗原が死球で出塁した場面を挙げ、「左投手に対して粘って粘って(9球目に死球で)満塁にした。それが牧選手のタイムリーに繋がった。栗原選手のあの打席は日本のチームにとって大きかった」と賛辞。若手中心の井端ジャパンの戦いぶりは、第1回WBC優勝メンバーの今江氏にとっても大きな刺激になったようだった。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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