静かに始まるレッドブルの改革 大宮アルディージャは翼を授かるか
正式な発表事項がなかった、2つの理由
メディアに向けて、マリオ・ゴメスTDは「(変更点を)皆さんに示したい気持ちもあるが、まだ早い。なぜならば、明日、重要な試合がある。少し(現チームの成績の行方が)落ち着いた段階で話したい」と言った。それにも関わらず、この時期にイベントを行ったのは、広告塔的存在でもある元ドイツ代表FWマリオ・ゴメス来日のタイミングをクラブが逃したくなかったからだ。
もう1つの理由は、レッドブル側の狙いが、日本の反応を見るための物だったこと。ファンやメディアとクラブの距離感、レッドブル参入に対する温度感、今後の方針を部分的に示し、どの程度の理解や関心があるかを知り、今後の決断や情報開示の方法、タイミングを適切に行うための指針とする考えがあったと見られる。記者会見ではなく、メディアギャザリングといった聞き慣れない名称を用いたのも、これが理由だった。
繰り返された表現に見えた、重視したメッセージ
レッドブルが伝えたかったことは、一方的に急速な変化を起こさない、だから新たな形を一緒に歩んでほしいというメッセージだ。「クラブが成長するために何が必要か、何をしていくべきかを話し合いながら、ともに進めていきたい」とも話したフィリップは、レッドブルグループを紹介する際に、60種類の異なる競技で800人の選手をサポートしていると言った。その経験から、急速な変化を求めれば、要らぬ衝突や摩擦を生み、改革が遅れることを知っているのだ。
育成部門は念入りに調査、静かに始まっている改革
新しい運営会社RB大宮の代表取締役にもなった、原博実フットボール本部長 【平野貴也】
日本の才能ある選手を発掘し、育成し、世界へと羽ばたかせる。その過程にアルディージャというトップチームがあり、選手だけでなくチームも成長する。その先に浦和レッズとのさいたまダービー復活を含めたJ1での戦いがある。レッドブルが描くイメージどおりに進めば、大宮アルディージャは「翼を授かる」ことになるが、果たしてどうなるか。改革は、慎重な姿勢で静かにスタートしている。