高校サッカーの前座にプロレス? なぜ米子北高は公式戦をイベント化するのか
チアリーダーが作る花道から、前座イベントを務めたプロレスラーとともに入場する米子北イレブン 【米子北高校サッカー部】
「天気が心配でしたが、無事にできました。サッカー教室に参加した園児や、少年団の子ども、うちの部員もプロレスを見ていましたが、レスラーの方が『場外戦』で子どもを楽しませるように巻き込んでやってくれて、みんなで楽しむ雰囲気が良かったです。リングの最前列には、プロレスファンの方も来ていました」と教えてくれたのは、イベント化の仕掛け人である梶貴博コーチだ。米子北高で教員になる以前の2014年から3シーズンにわたり、Jリーグの大宮アルディージャで広報活動、試合運営に携わった経験を生かしている。
最大の目的は、サッカーの普及
子ども向けサッカー教室では、部員が指導役を務める 【米子北高校サッカー部】
それならば、全国大会上位の強豪に、地元チームが立ち向かう姿を見てもらい、サッカーに触れる機会を増やせないかと考えたのが始まりだ。23年から学校の職員や鳥取県サッカー協会などの協力も仰ぎ、地元の少年団を招待。試合前に子どもたちにも競技場でプレーする機会を与えられないかと幼児向けのサッカー教室や少年団のフレンドリーマッチも始まった。中学校で競技を続けない子どもが増えていると聞き、進学先の中学が同じになる学区の小学校を同時に招き、混合チームで試合をさせて交流が深まるようにも工夫している。
サッカー熱の高い埼玉で感じた地域格差
埼玉県は、各年代で日本一になるチームも多く、サッカーが盛んだ。学校内のクラス対抗戦なども行われる。梶コーチは、大学卒業後、さいたま市の小学校で教員を2年間務めたが「米子で対抗戦をやるなら陸上競技か水泳。子どもがサッカーをやる機会、見る機会が圧倒的に違う」と土壌の違いを痛感。小学校の教員を辞め、大宮アルディージャでプロクラブのホームタウン活動を学び、米子北の教員となり、思いと学んだ手法を結びつけているのが、現在の普及活動だ。