MLBポストシーズンレポート2024

「我々は翔平に対していいプランを持っている」 挑発的なパドレスに大谷率いるドジャースはどう迎え撃つのか?

丹羽政善

パドレスとの地区シリーズを目前に控え、記者会見に応じるドジャースの大谷翔平 【Photo by Daniel Shirey/MLB Photos via Getty Images】

 いよいよ、である。2000年代中頃のレッドソックスとヤンキースのようなライバル関係を彷彿とさせる、いまのドジャースとパドレス。地区シリーズではもったいない顔合わせだ。大谷翔平(ドジャース)も10月4日(現地時間、以下同)、シリーズ直前の空気感を「みんな興奮している」と明かした。

「もちろん地区のライバルが相手なので」

 ただ、もっぱらパドレス有利がささやかれる。質量とも、ドジャースの投手陣を上回るからだ。ところが、同じことが言われていた先月末の3連戦(9月24日〜26日)では、ドジャースが勝ち越して地区優勝を決めた。

 あのとき、ドジャースの選手はどう感じていたのか。そこを辿ると、違う景色が見えてくる。優勝投手にもなったマイケル・コペック(ドジャース)の証言で振り返りつつ、シリーズの綾となりそうな、大谷に対するパドレス投手陣のアプローチをイメージしてみたい。

明日(10月5日)から開幕するパドレスとの地区シリーズに向けて、スタジアム内の準備も着々と進む 【Robert Gauthier / Los Angeles Times via Getty Images】

NFL最高の選手が大谷の「50-50」を激賞

 大谷が「50-50」を達成した夜、現在NFL(全米フットボールリーグ)で最高の選手と称されているチーフスのクォーターバック、パトリック・マホームズが、「Insane!!!(あり得ない!!!)」と反応した。
 その話をマホームズとは幼馴染のコペックとしていると、こんなエピソードを教えてくれた。

「彼は小さい頃から、ずっとライバルだった。同じピッチャーだったし、何度も投げ合った。でも、トラベルチーム(地区の選抜チーム)で一緒になったとき、妙に気があったんだ。以来、時々やり取りをしているけど、翔平を見ていると、どうしてもパトリックのことを思い出す」

 マホームズは、すでにNFLで2度もMVP(最優秀選手)を獲得しているが、「野球を選んでいたら、やはり、すごいピッチャーになっていたと思う」とコペックは疑わない。

NFLカンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ 【Photo by Ronald Martinez/Getty Images】

「高校の時、ある試合で自分たちは、彼にノーヒットに抑えられた。16三振を奪われたのかな。自分も12三振を奪ったけど、2対1で負けた」

 高卒時、タイガースが37巡目でマホームズを指名したが、「あれは、すでにパトリックが大学でフットボールをやると宣言していたから。もし、野球に専念すると表明していたら、1巡目だったと思う」とコペックは強調している。

 マホームズは当然ながらタイガースとは契約せず、テキサス工科大へ。その後、1巡目(全体10位)でチーフスに指名されたが、「彼はバスケット選手としてもすごかった」と、さらなる伝説をコペックは口にした。

「ポイントガードとして、高校を州のチャンピオンに導いたんだ」

 コペックは、「とにかく、なにをやらせても際立っていた。もう、こんなアスリートと巡り合うことないと思っていた」と話しつつも、こう続けている。

「翔平と会うまでは」

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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