MLBポストシーズンレポート2024

「我々は翔平に対していいプランを持っている」 挑発的なパドレスに大谷率いるドジャースはどう迎え撃つのか?

丹羽政善

大谷に軍配も、揺るがぬパドレスの自信

ブレーブスとのワイルドカード・シリーズを制し、抱擁を交わすパドレスのマイク・シルト監督とザンダー・ボガーツ(左)。本拠地ペトコ・パークのスクリーンには「BEAT LA」(ドジャースを倒せ)の文字が 【Photo by Matt Thomas/San Diego Padres/Getty Images】

 さて、あのときはそうして大谷に軍配が上がったものの、パドレスも負けたとは思っていない。パドレスのマイク・シルト監督は10月4日、「我々は、翔平に対していいプランを持っている」と挑発的だった。「あとはそれを実行できるかどうか。当然、我々はそれが出来るという自信がある」。

 多くのチームがそうであるように、「(重要な場面では)左をぶつける」とも明かし、第2戦はモレホン、第3戦はタナー・スコットという両左腕がともに大谷にタイムリーを打たれたものの、「彼らを信頼している」と自信が揺らぐことはなかった。

 確かに、あのモレホンの4球目が外角いっぱいに決まっていたら、結果は違っていたかもしれない。

 では、大谷はどう迎え撃つのか。

「シーズン中に残した数字というのは、それはそれ。ポストシーズンのアドバンテージになるわけではない。シーズン中にパドレス戦で打った、打たないは、自分では把握してないので分からない」としつつ、続けた。

「パドレスは、球界の中でも素晴らしいピッチャー陣。なかなか、自分の打席を冷静に送るっていうのは難しい相手だとは思いますけど、初めてのポストシーズンでそれが出来れば、十分に数字は残る」

 自分の打席を冷静にーー。彼自身が口にしたように、それが初のプレーオフでできるかだが、ナーバスにならないのか? の問いに大谷は、通訳を介することなく、英語で即答した。

「Nope」

なぜか?

「そのために小さい頃から練習してきていますし、こういう舞台でプレーしたいという思いでやってきているので、そこが一番。楽しみだなという方がどちらかというと大きい」

地区優勝のウィニングボールはどこへ?

 ところで、コペックは9月26日、最後の打者を二塁フライに打ち取って、優勝投手となった。二塁を守っていたクリス・テーラーから直後、ウィニングボールを手渡されたものの、その後の記憶がないという。

「確かにもらった。それをグローブに入れて、フィールドのどこかに置いた。でも、優勝のお祝いをみんなとしているうちに、すっかり忘れてしまった」

 名前の入ったグローブは戻ってきた。

「でも、ボールは入っていなかった」

 そもそも聞かれるまで忘れていたそうで、「あのとき、フィールドにはいろんなものが散乱していた。そこに紛れてしまったのかもしれない」。だとしたら、何も知らないグラウンドキーパーが、ひょいと拾いあげて、練習ボールのカゴの中に投げ入れてしまったかもしれない。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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