連覇を果たしたパラバドミントン日本の“男女エース” 重圧を乗り越えた2人の信頼関係

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連覇の重圧がかかる中、日本の男女エースの里見紗李奈(左)、梶原大暉(右)がともに金メダルを獲得した 【写真は共同】

 9月3日(現地時間)に行われたバドミントン競技の最終日、東京大会のシングルスで金メダルに輝いた里見紗李奈(車いすWH1/世界ランキング1位)と梶原大暉(車いすWH2/同1位)の“男女エース”が、再び世界の頂点に立った。

「連覇がかかっている中で、やっぱり大暉からもらう言葉は特別でした」

 試合後に里見がそう語ったように、連覇を期待された2人しか分からない重圧、それを乗り越えた要因の一つに、お互いへの信頼関係があった。

里見紗李奈がつかんだ逆転勝利での金メダル

決勝で強烈なショットを放つ里見。逆転での金メダルだった 【写真は共同】

 この日、先にスタートしたのは女子シングルス(車いすWH1)決勝だった。初戦の後に里見は、会場の特徴について普段の大会よりも風が強く「コート差」があると語っており、迎えた決勝では「(まず)第1ゲームを取る」ために“追い風”側のコートを選択した。

 しかし試合はタイのスジラット・プッカム(世界ランキング2位)の連続ポイントから始まる。1ポイントを返すが、3ポイントを続けて奪われるなど、ペースを握れないまま18-21で第1セットを落とした。

 その原因を「最終日にして少し風の向きが変わった」と里見は振り返った。第1ゲーム途中には「飛ぶ側のコートでプレーしているのに、こんな試合をしてしまって大丈夫かな」と不安がよぎったという。しかし第2ゲームに入り、“風向き”が逆転していたことに気付いてから「落ち着いて試合ができた」。序盤から4連続ポイントを奪うなど相手に一度もリードを許さず、21-13で第2ゲームを奪い返した。

 最終ゲーム、里見は再び“飛ばない”コートに戻ってのスタート。プッカムが4点差を付けた7-11でインターバルを迎え、コートが入れ替わった。ビハインドでの折り返しではあったが、「“コート差”があることを自分の中で認識していたので、点差は全然怖くなくて、落ち着いたまま、点数重ねられた。あとはスジラット選手が疲れているのが見えたところから畳みかけることができた」と振り返った。その言葉どおり、インターバル明けから連続で5ポイントを奪い逆転に成功。そこから2点を返されるも、再び5連続ポイントで17-13とリードを広げると、最後まで着実に点を積み重ねて、21-18で最終ゲームを制し、金メダルをつかみ取った。

 里見にとってパリ大会通しての展開は東京大会と「同じ」だったという。東京でもパリでも1次リーグで黒星を喫し、その相手に準決勝では勝利した。決勝も第1ゲームを奪われながら、逆転して勝利を収めた。その経験があったことで、「(今回も)大丈夫という気持ちがやっぱり強かった」と語った。

 試合後に梶原は「次は僕の番ですね」と里見に話したという。「(梶原が)最後、格好よく締めてくれると思うので期待してください」と金メダルのバトンを託した。

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