「母のためにも日本代表めざす」 ラグビー・リーグワン神戸に大阪体育大学・シオネ・マウが入団

大阪体育大学
チーム・協会
 ジャパンラグビー・リーグワンのコベルコ神戸スティーラーズに、大阪体育大学ラグビー部のシオネ・マウ選手(22)=体育学部4年、高知中央、トンガ出身=が入団することが決まり、1月24日(金)、発表された。シオネ選手は身長180㌢、体重115㌔、ポジションはフッカー。決してラグビーが好きではなかった少年が母に励まされてラグビーを続け、日本最高峰のリーグワンに進んだ。「日本に行ってラグビーを続け、神戸に入団できたのは、自分ではなく母の力」。リーグワンでの試合に、父母をトンガから招くのが夢という。

【大阪体育大学】

★新品のスパイクに母の思い シオネさんは、兄がラグビー選手だった関係で知り合いから勧められ、12歳のころからラグビーを始めた。ラグビーが好きでも関心があった分けでもなかったという。しかし、母ライテさんから「練習がしんどいのは分かるよ。でも練習には絶対行きなさい」と言われ続けた。練習していると、グラウンドの横にはほぼ必ず母の姿があった。「なぜここまで練習しなくてはいけないのか」と思ったこともあったという。しかし、ある日、母が新品のスパイクを買ってくれた。マウ家は父レレノアさんが農業を営むが、決して裕福ではなかった。「お金がないのに」。シオネさんは母の真剣な思いを強く感じた。
★父母の勧めで日本へ 数年が経ち、ニュージーランドに渡ってのプレーも考えたが、父母の勧めで日本行きを決め、高知中央高校に入学した。同校では花園大会に2度出場した。多数の大学から誘いがあったが、大学での学習についていけるかどうか不安だったという。その中で、大阪体育大学は何度も同校に通い、学習支援室による学習サポートや、全クラブ統括組織のスポーツ局によるバックアップ体制を丁寧に説明した。そのサポート体制が決め手になって、シオネさんは大体大への入学を決めた。
★トンガチーム選抜が転機 大体大では1年から主力を務めた。長崎正巳監督は「コンタクトに強くハンドリングも巧みで、理解力・実行力もあり、いわゆる『ラグビー偏差値』が高い。アグレッシブに攻撃し、将来は日本代表もめざせる」と高く評価する。
 大きな転機になったのは2年生だった2022年6月のチャリティーマッチ。日本のトンガ出身選手で構成するトンガ・サムライ・フィフティーン」に大学生として唯一選ばれた。同年1月に起きたトンガ沖海底火山噴火の被災者支援のために行われた試合で、当時、米CNNのインタビューも受けた。

※リンク先は外部サイトの場合があります

 シオネさんは「ちょうどフッカーに取り組み始めた時期で、スクラムでは相手を圧倒するほどの気迫、必ず対面に勝つ執念を学んだ。今もその気持ちでスクラムを組んでいる」と話す。

【大阪体育大学】

★入替戦逆転負けに悔いなし 大体大は入学時からBリーグだった。シオネさんはどうすれば勝てるか4年間、仲間と考え抜いたという。昨年12月、Bリーグ1位で臨んだ関西大学との入替戦では、自ら先制トライを決めたが、ロスタイムに18―19と逆転された。後悔はないという。4年生としての1年間は最もハードに練習し、「チームが勝つために一丸となる姿を後輩たちに見せることができた」と話す。
★母に日本代表のジャージー姿を 神戸入団が決まり、「うれしさよりも大学とはレベルが違うリーグワンで自分の力がどれだけ通用するのか緊張感がある」という。一方で「スクラムでは絶対に勝ち、モールでもボールキャリアとして、トライにつなげたい」と意気込む。
 母から「自分がラグビーを辞めた時に自分がどこまで行けたのかを考えて、今の練習に集中しなさい」と言われてきた。
 「母の言葉に応えたい。日本代表をめざす」。さらなる挑戦が始まる。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント