渋野日向子ら、日本選手19人が出場 全英女子OP開催“聖地”セントアンドリュースの凄さをレジェンドの言葉で紐解く

北村収

聖地と呼ばれるセントアンドリュース オールドコース 【Photo by David Cannon/R&A/R&A via Getty Images】

 8月22日から25日まで開催される全英(AIG)女子オープン。渋野日向子、笹生優花、古江彩佳ら、19人の日本選手が出場予定だ。

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 今年はセントアンドリュース オールドコースで開催となる。この“聖地”と称されるコースは、長年にわたり世界中のトップゴルファーに多くの試練を与えてきた。112個もあると言われる小さく、深いポットバンカーが選手たちを苦しめてきた。また、フラットと言われるリンクスコースは実際には大きなアンジュレーションがあり、ショットの落下地点によって予測不可能なバウンドが発生することがあるため、思いがけずポットバンカーにつかまることもある。さらに、海からの強風や、万が一ボールが入ってしまうとロストボールになる恐れのある「ハリエニシダ」と呼ばれる深いラフが、選手たちにさらなるプレッシャーをかける。

ポットバンカー、複雑なアンジュレーション、深いラフ、そして海からの強い風が選手に試練を与える 【Photo by David Cannon/R&A/R&A via Getty Images】

 他にも聖地の難しさは色々とあるが、このコースの魅力を最も表しているのはゴルフ界のレジェンドたちが残してきた“名言”だ。ボビー・ジョーンズ、ジャック・ニクラウス、タイガー・ウッズらの言葉で、セントアンドリュース オールドコースの魅力を紐解いてみた。

ボビー・ジョーンズ「ベストコースを選べと言われたら、躊躇なくオールドコースの名をあげる」

全英オープンでプレーをするボビー・ジョーンズ 【Photo by Bettmann/Getty Images Original Caption】

 アマチュアとしてグランドスラムを成し遂げたボビー・ジョーンズは、この聖地で「何というバカなことをしてしまったんだ」という後悔の念に苛まれる経験をしている。1921年、すでに天才として名を馳せていた19歳の時に初めて全英オープンに出場。11番(Par3)ではティーショットを左のバンカーに入れてしまい、グリーンに乗るまでに4打を要してしまう。5打目となるダブルボギーパットを外してしまった後、ボールを拾い上げてしまったのだ。「プレーを途中で辞めてしまうなんて、悪いスコアで回るよりももっと恥ずかしい・・・」。後悔先に立たずだった。

 その6年後、1927年。前年のロイヤルリザムセントアンズで開催された全英オープンで優勝したジョーンズは、ディフェンディングチャンピオンとしてセントアンドリュースの地に戻ってきた。2度目のセントアンドリュースでの全英オープンでは最後まで首位を独走し、見事優勝。優勝スピーチで「6年前の過ちを少しでも取り戻せただろうか」と語ったジョーンズに、大観衆は惜しみない拍手を送った。

 後に球聖と呼ばれ、世界中のゴルファーから敬意を集める存在となったジョーンズは、「私が選手として試合をしてきた経験の中からベストコースを選べと言われたら、私は躊躇なくこのセントアンドリュースのオールドコースの名をあげる。このコースほど私に多くのことを教えてくれたコースはないからだ」と語っている。

ジャック・ニクラウス「セントアンドリュースで勝てて、本当のメジャーチャンピオンになれたと実感」

2005年の全英オープンでセントアンドリュースに別れを告げたジャック・ニクラウス 【Photo by Pool Photographer/WireImage】

 世界4大メジャーで最も多く勝利を収めた選手といえばジャック・ニクラウスだ。マスターズ6勝、全米オープン4勝、全米プロ5勝、そして全英オープンでは3勝を挙げている。セントアンドリュースの全英オープンを制したのは1970年。メジャーとして8試合目の勝利を飾った際には、「セントアンドリュースで勝てて、私は初めて本当のメジャーチャンピオンになれたと実感した。ここで一度勝つことがどれだけ大変か。今回私もそれを改めて思い知らされた」と語っている。

 その8年後、セントアンドリュースで1970年以来となる全英オープンが開催された。世代交代を囁かれ、38歳になっていたニクラウスよりも優勝候補の筆頭は10歳年下のトム・ワトソンなどだった。ところが、ニクラウスは予選ラウンドで出遅れたものの、3日目、最終日と2日連続で60台を出す好プレーで逆転優勝。「ここで勝つことが重要だった。本当に自分がナンバーワンでなくなったのかどうかは、セントアンドリュースの72ホールで分かる」と満足気に語った。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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