渋野日向子ら、日本選手19人が出場 全英女子OP開催“聖地”セントアンドリュースの凄さをレジェンドの言葉で紐解く

北村収

タイガー・ウッズ「オールドコースでの全英オープンのプレーは特別なこと」

2022年の全英オープンで大ギャラリーから拍手喝采を浴びたタイガー・ウッズ 【Photo by Richard Heathcote/R&A/R&A via Getty Images】

 ニクラウスと同様、セントアンドリュース オールドコースの全英オープンで2勝を飾っているのがタイガー・ウッズだ。2000年に聖地で初めて勝った際には、112個あると言われるバンカーに一度も入れず、2位に8打差をつける圧勝。「私はセントアンドリュースが大好きです。ここで新しい歴史をつくれたことはとても嬉しく、これからの私の人生で大きな励みとなります」と胸を張った。そして2005年も2位に5打差をつけて優勝を果たした。

「オールドコースで全英オープンのプレーをすることは、いつだって特別なこと」とタイガーは語っている。2022年、セントアンドリュースで開催された全英オープンに出場したタイガーだったが、2日目を終えて予選落ちがほぼ確定している状態で18番ホールを迎えた。大ギャラリーはスウィルカンブリッジを渡るタイガーに拍手喝采を送った。聖地のギャラリーはこの地で偉業を達成した選手には、いつまでも温かい拍手を送り続ける伝統があるのだ。

ロレーナ・オチョア「ここで新しい歴史をつくれたことはとても嬉しい」

 全英(AIG)女子オープンが初めてセントアンドリュースで開催されたのは2007年だった。聖地初開催を制したのは、当時圧倒的な強さを見せていたメキシコのロレーナ・オチョア。特別な地での優勝に「ここで新しい歴史をつくれたことはとても嬉しく、これからの私の人生で大きな励みとなります」と語っている。

優勝後、スウィルカンブリッジで記念撮影を行ったロレーナ・オチョア 【Photo by David Cannon/Getty Images】

プレーヤーより市民が優先される独自の運営方針

 聖地の“凄さ”はコースの難しさやレジェンドが築いてきた激闘の歴史だけではない。独特な運営方針にもある。

 スコットランドの他の多くのコースにも共通している特徴だが、市民がプレーヤーよりも優先される。普段、オールドコースを訪れると、コース内を通る道路を車や歩行者が自由に行き交う姿が見られ、プレーヤーはそれを待たなければならない。

 オールドコースは日曜日は休みとなり、市民に開放されている。数百年前、日曜日にゴルフを楽しむ人が増え、礼拝を怠る人が増えたことから、日曜日にはゴルフを禁止するルールが制定されたのだが、この伝統が現在も守られているのだ。

 そのため、最も混雑が予想される日曜日には、オールドコースでゴルフをプレーする人はおらず、代わりに地元住民、旅行者で賑わっている。フェアウェイを自由に走り回る子供たちの姿、ペットと散歩する家族など、日本のゴルフ場では想像し難いほどの開放感に満ちた風景が広がっている。

日曜日のオールドコースの光景 【筆者撮影】

過去最多19名の日本選手が出場

 数々の名選手が特別な思いを持って臨み、優勝を果たしてきた聖地・セントアンドリュースでのメジャー大会。今年の全英(AIG)女子オープンは、どのような展開になるのだろうか?

 日本選手は、歴代チャンピオンの渋野日向子、今年のメジャー、全米女子オープンを制した笹生優花、同じくメジャーのアムンディ エビアン選手権を制した古江彩佳など19人と、過去最多の選手が出場する。聖地での特別なメジャーで、日本選手の活躍に期待がかかる。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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