大谷翔平の今季オープン戦初打席から見えたもの 菊池雄星から先頭打者HRも「スイング軌道にまだズレがある」
2月28日(現地時間、以下同)、試合中に取材の予定が入っていた関係で、センターの奥にあるドジャースの練習施設から大谷のオープン戦初打席を見守ったが、大谷の名前がコールされた途端、それまで目の前を行き交っていた多くの人が立ち止まり、打席に目を向けた。
・昨年は2年連続3度目のMVP。今年は同じような活躍ができるのか?
・昨年のワールドシリーズで脱臼した左肩の回復は?
・日本での開幕戦に向けての調整は順調か?
いろんな意味で耳目を集め、そこに菊池雄星(エンゼルス)との同門対決という要素も加わり、平日にも関わらずチケットが早々に完売したのは、当然だった。
果たして結果はといえば、おそらく多くの予想を上回った。フルカウントからの6球目。菊池の外角高めの真っ直ぐを捉えた大谷の打球は、キレイな弧を描き、レフトのドジャースブルペンへ。
打球を見送ったテーラー・ウォード(エンゼルス)は、「最初は、捕れると思った。しかし、まったく打球が落ちてこなかった」と苦笑し、続けた。
「相変わらず、翔平の打球は美しい」
これまで、メッツ、ジャイアンツでプレーし、オフにドジャースに移籍してきたマイケル・コンフォート(ドジャース)は、別の視点で驚いていた。
「オープン戦のナイターは照明が暗いからボールが見にくい。きょうは、薄暮の時間に試合が始まったから、最初の1〜2回は、暗さ以上に夕陽が空全体を染め、さらにバックスクリーンに光が反射して、ボールが見づらかった」
その時間のフライは見えづらいと、守っている野手が口にすることがある。それは打者も同じ。
「でも、翔平には関係なかったみたいだ」
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捕手・オハピーが要求した外角高めの根拠とは
克服した感はあるものの、2021年と22年、大谷は1本も外角高めを本塁打にできなかった。打球初速も他のコースに比べればやや低く、バレル率※/スイングも低い。
※打球初速と打球角度の組み合わせ。 打球初速が99マイルの場合、打球角度が25〜31でバレルゾーンに入る。打球初速が1マイル上がると角度の範囲も上下に広がり、打球初速100マイルの場合のバレルゾーンは打球角度24〜33度。過去7年、大谷の打球がバレルに入った場合の打率は.785。
以下は、バレル率/スイングの比率だが、ストライクゾーンの中では一番低い。
ただ、欲を言えば、球速がもう少し欲しかった。打ったのは93.9マイルだったが、メジャー入り以来、左投手の外角高め真っ直ぐに対する大谷の打率は、94マイル以下と95マイル以上に大きな分水嶺がある。
94マイル以下 打率.350
95マイル以上 打率.200
1マイルの差で、1割5分も打率が違うのである。あの試合で菊池は95マイル以上の球をコンスタントに投げていただけに、そこに誤算があった。