男子パークの“世界の扉”を開けた永原悠路 スケボー旋風のその先を荒畑潤一が提言

田中凌平

旋風が巻き起こる日本スケボー界の今後

五輪で活躍した日本代表の選手たちに加え、次世代の有望株が育っているだけに日本のスケートボード界の未来は明るい 【写真は共同】

 パリ五輪では多くの日本人選手がメダルを獲得する旋風を巻き起こし、各選手のかっこよさを見ることができ、これまで以上にスケートボードに興味を持ってくれた人が増えたと思います。見ているだけでも凄さが伝わると思いますが、自分に置き換えて考えてみるとより感じられます。例えば、パーク内でスケートボードで走るだけで大変なのに、これだけのトリックを決めていることがどれだけ凄いのかを実感できると思います。

 私がスケートボードで好きなのは、「常に自分の成長を感じられること」です。「今日はこの技に挑戦しよう」「どうやったら飛べるようになるのだろう」と考えながら、1つひとつの目標をクリアしていく達成感にはかけがえのないものがあります。たとえ、その日にメイクできなくても、そのプロセスは無駄ではありません。今日の永原選手の2本目以降のミスも決して無駄だとは思っていないですし、必ず今後につながる経験になるはずです。「自分で考えて・クリエイトして・マネジメントしていくこと」の大切さはスケートボードから教わりました。

 これからはもっとスケートパークや室内練習場が増えて、気軽に練習できたり親子連れで楽しめたりする環境になってほしいですね。数多くパークで練習することで引き出しの数が増えるので、技術の向上にも直結します。日本では子ども世代にも素晴らしいスケートボーダーがたくさんいるので、今回の日本代表の後に続く選手がたくさん生まれることに期待です。

 また、スケートボードにはファッションやコンテスト、ビデオスターなど様々な要素があります。さらに、メジャーな面もあればアンダーグラウンドの一面もあります。ぜひ多くの人にスケートボードを好きになってもらい、スクールで雇用を生んだりプロになって活躍したりして、好きなことでご飯を食べていけるカルチャーにまで発展できれば嬉しいです。

荒畑潤一(あらはた・じゅんいち)

【株式会社SFIDA】

スケートボード歴36年の大ベテランであり、日本スケートボードシーンを牽引してきたパイオニアの1人。1995年、18歳で全日本チャンピオン(AJSA)を獲得。その翌年には渡米し武者修行をするなど、本場のスケート文化に心酔した。近年はスケートボードの普及活動に力を入れており、東京五輪やパリ五輪、XGamesのテレビ中継の解説をはじめとしたメディア出演や、次世代のキッズを育成するスケートボードスクールなども開催している。

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著者プロフィール

東京都出身。フリーライター。ラグジュアリーブランドでの5年間の接客経験と英語力を活かし、数多くの著名人や海外アスリートに取材を行う。野球とゴルフを中心にスポーツ領域を幅広く対応。明治大学在学中にはプロゴルフトーナメントの運営に携わり、海外の有名選手もサポートしてきた。野球では国内のみならず、MLBの注目選手を観るために現地へ赴くことも。大学の短期留学中に教授からの指示を守らず、ヤンキー・スタジアムにイチローを観に行って怒られたのはいい思い出。

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