柔道混合団体、フランスの返り討ちで銀メダルに 個人戦との違いや奥深さを杉本美香が熱弁

田中凌平

4年後のリベンジに向けて見えた“光”とは

雌雄を決した決勝の第7試合はまさに死闘だった。リネール(左)に敗れたものの、斉藤は何ら恥じることはない 【写真は共同】

 五輪初出場の斉藤選手は、個人で五輪3度の金メダルに輝き、東京五輪の混合団体でも日本の前に立ちはだかった“フランスの英雄”リネール選手と2度の試合を行いました。リネール選手の強さは、冷静に“審判目線”で戦局を捉えながら戦えるところです。相手に先に指導を与えるための種まきをして、相手が焦って出てきたり、ミスしたりした時に自分の得意な内股で確実に決めるところに経験の差を感じます。

 勝利はつかめなかったものの、斉藤選手は本当によく頑張りました。今回が初めての代表だったのですが、選出されてから急成長を遂げたと感じています。一本を決められる技があり、組み手も上手ですし、100キロ超級なのに寝技も光るものがあります。まだ22歳でリネール選手に挑んであれだけの死闘を演じられたことに、負けたとはいえ自信をもってほしいですね。

 ただ、日本だと斉藤選手より大きい選手がほとんどいないので「受け」の甘さがまだあるなと感じます。海外に行って大きな選手と試合をして経験を積むこともできますが、その分研究されてしまうリスクもあります。難しいところですが、4年後のロサンゼルス五輪も狙ってほしいですし、応援したくなる選手ですよね。

 村尾三四郎選手(JESグループ)も同じくロス五輪を狙える年齢で、安定した強さを見せてくれました。初めての五輪出場でしたが、今日の試合を見て獲るべくして銀メダルを獲ったのだなとあらためて感じました。阿部選手も含めて今回の悔しさをバネにして、ロス五輪までの4年間を逆算して過ごし、次回は絶対金メダルを獲ってほしいですよね。団体戦で頂点を極める嬉しさや達成感を味わってほしいです。

杉本美香(すぎもと・みか)

【株式会社RIGHTS.】

1984年8月27日生まれ、兵庫県出身。柔道女子重量級で一時代を築いた柔道家。2010年、東京で行われた世界選手権で78キロ超級と無差別級で金メダルを獲得し、日本女子選手初となる二階級制覇を達成。2012年にはロンドン五輪に出場し、78キロ超級で銀メダルを獲得した。現役引退後は、コマツ女子柔道部の監督を歴任。現在はテレビ・イベント出演や、柔道教室などを全国各地で行い、競技の普及活動に取り組んでいる。

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著者プロフィール

東京都出身。フリーライター。ラグジュアリーブランドでの5年間の接客経験と英語力を活かし、数多くの著名人や海外アスリートに取材を行う。野球とゴルフを中心にスポーツ領域を幅広く対応。明治大学在学中にはプロゴルフトーナメントの運営に携わり、海外の有名選手もサポートしてきた。野球では国内のみならず、MLBの注目選手を観るために現地へ赴くことも。大学の短期留学中に教授からの指示を守らず、ヤンキー・スタジアムにイチローを観に行って怒られたのはいい思い出。

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