26歳と27歳で迎えた初五輪の銅メダル シダマツペアが3位決定戦で見せた「らしさ」
女子ダブルスで銅メダルを獲得し、喜ぶ志田千陽(写真右)と松山奈未 【写真は共同】
世界ランキング4位のシダマツペアは1次グループC組を2位で突破し、準々決勝はマイケン・フルールゴール/サラ・テューセン組(デンマーク)に勝利していた。2日の準決勝で世界ランキング3位の劉聖書/譚寧組(中国)に0-2で敗れ、金メダルの夢を逃した。しかし3位決定戦はシダマツペア「らしい」快勝で、日本勢としてはこの種目で2大会ぶりのメダル獲得に成功している。
なお優勝は、世界ランキング1位の陳清晨/賈一凡組(中国)だった。
バドミントン、特に女子ダブルスはこの国の「お家芸種目」だ。一方、日本勢としては2012年ロンドン五輪銀の藤井瑞希/垣岩令佳組、2016年リオデジャネイロ五輪金の高橋礼華/松友美佐紀組に続く3組目のメダリスト誕生となった。
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敗戦、緊張を乗り越える
「昨日負けてすごく悔しくて、2人ともメンタル的には切り替えるのが難しくて、試合前も『どうしよう』という感じでした。だけどここまで2人で頑張ってきたので、後悔をする試合にはしたくないなと思って、お互い前向きな声掛けをしながらコートに立ちました。思ったより自分たちの作戦がハマって、自分たちらしいプレーを最後までできたので良かったです」
松山はこう振り返る。
「今日は本当に試合をするのが怖くて、自分自身にも自信がない状態で、メンタルがもう難しい状況でした。やっと試合が終わって、すごくホッとしています」
入場時は緊張している様子にも見えたが、試合に入ると堂々としたプレーぶりを見せた。志田は言う。
「オリンピックはすごく緊張するって聞いていたのですが、この雰囲気の中で試合できることが逆に何かすごく楽しくて、緊張が取れたというかほぐれたというか、それが楽しみに変わりました。本当この会場にいる、すごく盛り上げてくれた皆さんに感謝したいです」
嬉し涙と笑顔の爽やかな3位決定戦だった。志田は銅メダルの感想をこう述べる。
「金メダルを目指してもちろんやってきたので、昨日の負けは悔しいですけど、こうやった最後は笑って終われたのは本当に自分たちの頑張った成果。そこは素直に喜びたいなと思います」
3位決定戦で見せた「らしさ」
攻撃的な戦いで相手のペアを揺さぶり、主導権を得た 【写真は共同】
「自分たちらしさというか、出足よく相手よりも先に(シャトルコックを)落として、攻める展開を作れたらいいねと2人で話していました。昨日はそれができなかったのですが、昨日とは全然違う展開になると自信を持って、出だしから自分たちらしく行こうとして入りました」(志田)
いずれも21-11というスコアが分かるように第1ゲーム、第2ゲームとも相手を寄せ付けない展開だった。
彼女たちは決して順風満帆にここまで来たペアではない。パリは志田は27歳、松山は26歳とやや遅い五輪初出場だった。
松山はいう。
「自分たちは東京に出られなくて、パリの金メダルを取るために2人でどんなことも乗り越えようとやってきました。東京に出られなかったからこそ、このメダルが取れたと思います。銅で終わってしまって、少し悔しい気持ちは残りますけど、メダルを持って帰れて嬉しいです」
志田はパートナーの努力をこう称える。
「松山は若いときにケガがけっこうあったり病気があったり、我慢も多かったと思うんですけど、それでも頑張って戻ってきてくれて、本当に感謝しています。プレー面は私にないものをたくさん持っているので、そういう部分で憧れています。最後まで引っ張ってくれてありがとうと伝えたいです」
2人が最初にペアを組んだのは志田が高1、松山が中3のときだが、今は連携も成熟している。松山も感謝を口にしていた。
「金メダルには届かなかったですけど、ここまで来れたのはパートナーのおかげだと思っています」
メダリストの先輩を追って
「私は小さいとき、オリンピックでフジガキペアをテレビで初めて見て、このような選手になりたいなと思った記憶があります。社会人1年目でリオオリンピックを見て、タカマツペアが優勝しました。社会人に入ってあらためてオリンピックに出る難しさをすごく感じて、自分たちがそこへ本当にいけるのかと不安もありながらの毎日でした」
しかし2人の長い努力が実り、日本バドミントン界の良き伝統は未来に引き継がれた。
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