インターハイ「夏の16強」決定 福岡大若葉の新風、米子北の伝統まで多士済々

川端暁彦

応援に駆け付けたメンバーにガッツポーズを決める米子北イレブン 【撮影:川端暁彦】

初出場校も勝ち残り

 全国高等学校総合体育大会(通称インターハイ)の男子サッカー競技は7月28日に2回戦を終え、「夏の16強」が出揃った。

 最激戦区と目されていたのは第1シードの鹿島学園(茨城)が入ったブロックだが、常連校の日章学園(宮崎)と静岡学園(静岡)、仙台育英(宮城)と神村学園(鹿児島)が勝ち残った。

 そのほか3回戦では市立船橋(千葉)と尚志(福島)、米子北(鳥取)と国見(長崎)と常連校の対決が続く。反対側の山では東海大相模(神奈川2)と帝京長岡(新潟)、青森山田(青森)と矢板中央(栃木)がそれぞれ勝ち残り。

 また前年度準優勝の桐光学園(神奈川1)がシードされた山からは、その桐光と作陽学園(岡山)、元日本代表FW玉田圭司新監督率いる昌平(埼玉)、そして初出場の福岡大若葉(福岡)が勝ち残り、16強の顔触れが決まった。

 35分ハーフで延長なしの即PK戦というレギュレーションは番狂わせを生みやすい面もあるが、常連校の多くが粘り強く勝ち残ってきた。静岡学園の川口修監督が「まだまだ未完成のチーム」と強調していたように、この時期に仕上がっているチームのほうが珍しい。そのため、逆に個の力のあるチームが勝ち切れる面もあるのだろう。

創部6年目、福岡の新鋭が初勝利

全国初出場初勝利を決め、勝利の雄叫びをあげる福岡大若葉イレブン 【撮影:川端暁彦】

 その顔触れの中で異彩を放つのは初出場の福岡大若葉だ。

 杉山公一監督が「『福岡大の高校と言えば、福岡大大濠でしょ?』と言われる」と苦笑いを浮かべるように、同じ県内の「福岡大」を冠する大濠はバスケットボールや野球などのスポーツ強豪校として知られ、サッカーでも鹿島や神戸などで活躍したFW田代有三さんらを輩出している有名校。それだけに、この大会は「福岡大若葉」の名前を知らしめる絶好の舞台とも位置付けていたようだ。

 元々は女子校で、2019年の共学化を機にサッカー部の強化を開始。福岡大を大学サッカー界有数の名門に育て上げたベテラン指導者の乾真寛氏を総監督に迎え、九州国際大附属でFW永井謙佑(名古屋)らを育てた杉山氏を監督に据え、長期的なプランでチームを作り上げてきた。

 強豪ひしめく福岡で4強の一角に食い込むようになると、今年ついに全国切符を初めてつかみ取った。迎えた全国舞台、杉山監督はどうしてもプレッシャーのかかっていた予選の内容も踏まえ、「(全国は)お前たちの品評会だと思え」と解き放ち、小さくなることのない本来のチームパフォーマンスを発揮。2回戦で関西の強豪・阪南大高(大阪2)を1-1からのPK戦の末に見事撃破。創部6年目にして、全国初勝利の歴史を刻んでみせた。

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著者プロフィール

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』をはじめ、『スポーツナビ』『サッカーキング』『フットボリスタ』『サッカークリニック』『GOAL』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。近著に『2050年W杯 日本代表優勝プラン』(ソル・メディア)がある

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