2歳の娘と共にルーキーイヤーをスタート! 22歳のママゴルファー神谷和奏の挑戦

北村収

神谷和奏(かみやわかな)、2001年10月1日生、ソニーネットワークコミュニケーションズコネクト所属 【写真:北村収】

 昨年秋のプロテストに合格した女子プロゴルファーが、今シーズンのスタートを切った。この中で注目を集めている選手の一人が、神谷和奏(かみやわかな・22歳)だ。19歳で結婚、出産をした神谷は、2歳の長女咲凜(えみり)ちゃんを育てながら見事に昨年プロテストに合格。今季はルーキープロとしてツアーに挑む神谷に話を聞いた。
 神谷は5日から開催される富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで今季初戦に出場する。

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生活の基本は子育て。ツアー会場には子供を連れて行く

 プロテスト合格後、様々なメディアに取り上げられた神谷だったが、本人は自分がすごいことをしたという実感はないという。「自分一人だけの結果ではないというか、むしろ支えてくれている方々が本当にすごい」と話す。

 プロテストを受験する際も、プロテスト合格後も、「生活の基本は子育て」だという。小さい子供は急に熱を出したりするが、「そういう日はゴルフは休みと割り切り、切り替えるようにしている」そうだ。どうしてもラウンドに行かなくてはならい時は、「旦那、母、祖父母などに預けますが、優先順位の1番は子供」とはっきりと述べる。

 今シーズンは2部ツアーであるステップ・アップ・ツアーをベースにするが、レギュラーツアーにも推薦やマンデー予選に挑戦してできる限り出場したいという。「母と子供と3人でツアーを回る予定です」と、2歳の長女咲凜ちゃんとは常に行動を共にする予定だ。その最大の理由は「私自身が子供と離れたくないから」だという。

昨年11月のプロテストに合格した時の神谷和奏。会場にいた咲凜ちゃんと記念撮影 【Photo by Atsushi Tomura/JLPGA via Getty Images】

あるタイミングで母親からプロゴルファーに切り替わる

 子供が優先、子供と離れたくないと、母親としての気持ちを率直に話す神谷だが、試合では毎回あるタイミングで自然と競技者に切り替わるそうだ。「ゴルフ場について、その試合に勝ちたいという思いや予選に通りたいという意思が強くなると勝手に切り替わるんです。母親としての私とプロゴルファーの私は全然違います。いつも自分の中で自然に切り替えスイッチが入りますね」。

 このスイッチにも咲凜ちゃんの存在は影響している。「(子供と)離れる時はやっぱり寂しい思いをするんですけど、逆に寂しい分頑張らなくてはと思います。託児所に預けることが多いのですが、咲凜も頑張っているし、私も頑張らなくては。大変なのに選択した道を前進しなくては」と気合が入るそうだ。

 神谷はプロテストを4回目の挑戦で合格した苦労人。プロとして挑む今シーズンは、「今年からやっとトーナメントに出られるので、楽しまなくてはと思います」と目を輝かせた。

子供ができてからの方がプレーも良い方向に!娘の存在が心の支え

トーナメント期間中も夜は咲凜ちゃんと一緒に過ごす 【本人提供】

 咲凜ちゃんの存在はゴルフにも良い影響を与えているという。「大事なパッティングの場面などで、娘の顔が浮かんだりします。するとすごくその一打に集中できるんです」。娘のためにも頑張りたいという気持ちが、プレーにも好影響を与えているそうだ。また、「最終ホールで歩いている時に今日の夜ご飯はどうしようかと考えたりするですが、違うことを考えて逆にプレッシャーがかかる場面で気が休まったりするんです。そして、最後の一打まで諦めないで戦える糧になっています」と話す。

 以前は大事な時にバンカーで焦ってホームランをしてしまってダブルボギーを打ってしまったりするようなことがたまにあったという神谷だが、「妊娠してから変わった」という。

「妊娠中にプロテストを受けたり、日本女子アマに出させていただいて、お腹にいる赤ちゃんが最優先で戦っている身として、競技者でありながら一歩引いて競技を見ることができるようになりました。例えバンカーでホームランをしても、それを焦らず受け止めて次をどうしようかと切り替えらえるようになりました。以前は気持ちの浮き沈みがすごく激しかったのですが、余裕が持てるようになったというか、視野が広くなった気がします」

 出産後はさらに、「子供ができたことで落ち着いた自分がいます。娘に成長させてもらえているような感じがする。今の昔にはない余裕が生まれた自分は娘のおかげ」と話す。

 咲凜ちゃんはまだ2歳だが、神谷が帰るとどんな時でも大喜びで迎えてくれるという。「どんなにゴルフの調子が悪い時でも、喜んで迎えてくれるのは本当に嬉しいですね。大人は良い結果には喜び、悪い結果には慰めてくれますが、咲凜はいつも同じ。常に日常に戻してくれます」。

 娘の存在は神谷の心の支えにもなっている。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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