ライト級第一人者の吉野修一郎が1年2カ月ぶり復帰戦 大橋ジムのホープ4人がデビュー【6月のボクシング注目試合】
注目のダブルタイトルマッチ
今年1月、プロ初戴冠を果たした藤田健児 【写真:ボクシング・ビート】
元日本フェザー級、スーパーフェザー級王者の坂は今回がキャリア10度目のタイトルマッチでもある。中退した関西大では寺地拳四朗(BMB)と同級生で、チームメイトとしてリーグ戦を戦った。ここ数戦は激闘が続く。5回負傷TKO勝ちとなった鯉渕健(横浜光)との今年2月の王座決定戦では、ジャブから丁寧に組み立てようという意識が垣間見られたものの、互いに流血する不安定な試合に終わり、坂本人も煮え切らないコメントに終始した。どう立て直してくるか。
対する波田は花咲徳栄高3年時のインターハイ、国体で準優勝。元大相撲・小結の旭道山の甥としても注目された期待のサウスポーは一昨年10月、日本タイトル挑戦権を懸けた最強挑戦者決定戦で、次戦で当時の王者だった坂を破る原優奈(真正)に判定負け。「ジャブ、ガード、足のスタンスの広さ」とカルロス・リナレス・トレーナーとともにボクシングを見つめ直したという再起戦から、しぶとい中国人選手に2連続KO勝ち。その過程の落ち着きに成長が見られた。
戦績が示す通りの強打者同士。いかに被弾を抑えるかがポイントになる。状態が上向きなのは挑戦者の波田だが、王者の坂には“修羅場”の経験がある。スリリングな戦いをどちらが制するか。
岡山・倉敷高から拓殖大、自衛隊体育学校にかけてアマチュア戦績153勝21敗、通算10冠を誇るサウスポーの藤田。特に高校2年の時、同学年の井上尚弥(大橋)と出場した全日本選手権を16歳10カ月で制した実績が光る(井上は高校3年時に優勝)。目標にしてきたオリンピック出場は果たせなかったものの、国際試合の経験も豊富。今年1月、プロ初タイトルとともに獲得したWBO14位の世界ランクを足がかりにさらに上を目指す。
“タンク”の異名通り、ずんぐりとした体型のピアラは3年前に6回戦デビュー。これが初のタイトル挑戦になる。フィリピンのボクサーらしくアグレッシブなタイプ。スピードに勝る藤田の武器である縦横自在のステップワークと体さばきに注目したい。初防衛戦決定を後楽園ホールでアピールした際は「魅せるボクシングだけでなく、倒すボクシングを見せる」と3戦ぶりのKOを誓っていた。イベントの模様は「U-NEXT」で第1試合開始からライブ配信される。
松本圭佑がV3戦、ホープ4人がそろって初陣
父・松本好二トレーナーと世界を目指す松本圭佑(右) 【写真:ボクシング・ビート】
元東洋太平洋・日本フェザー級王者の松本好二トレーナーとの親子鷹で小学生の頃から注目を集め、15歳以下の大会で活躍。東京農業大を2年で中退するまでアマチュアで通算80勝15敗の戦歴を残した。プロ8戦目の王座決定戦から、WBOアジアパシフィック王座決定戦(獲得後、返上)を兼ねた初防衛戦、2度目の防衛戦と3戦続けて判定勝ちも、収穫と課題がつまった濃密な32ラウンドの経験を飛躍につなげたい。
松本は2月にランク1位の指名挑戦者として日本拳法出身のサウスポー・前田稔輝(グリーンツダ)と戦い、最終回のダウンで一矢を報いられたが、4回に倒すなど大差をつけ、サウスポーを苦にしないところを見せた。が、藤田は3年前、その前田からダウンを奪うなど(判定負け)、独特のリズムと間合いを持つ。変則サウスポーに対し、攻防とも高いスキルを備える松本がどうアジャストし、切り崩していくか。
セミファイナルにはWBOアジアパシフィック・スーパーミドル級タイトルマッチが組まれ、日本同級王者のサウスポー・帝尊康輝(たいそん・こうき/一力/31歳、16勝15KO5敗3分)が王者のユン・ドクノ(韓国/28歳、8勝6KO1敗)に挑戦する。元ミドル級の東洋太平洋、WBOアジアパシフィック王者でもある帝尊にはアジア2階級制覇がかかる。
左から田中空、田中将吾、大橋蓮、坂井優太 【写真:船橋真二郎】