ライト級第一人者の吉野修一郎が1年2カ月ぶり復帰戦 大橋ジムのホープ4人がデビュー【6月のボクシング注目試合】

船橋真二郎

新旧女子アマチュアホープが競演

チャオズ箕輪(右)と奥田朋子は昨年3月以来の再戦 【写真:ボクシング・ビート】

 6月14日の後楽園ホールは女子の5大タイトルマッチ。新旧のアマチュアホープが競演する。メイン出場のチャオズ箕輪(ワタナベ/36歳、8勝6KO4敗)は4階級で全日本選手権7連覇、アジア選手権銅メダル(2度)。セミ出場の和田まどか(TEAM 10COUNT/29歳、1勝1KO)は3階級で全日本選手権6度優勝、国体2連覇、世界選手権銅メダル(2度)。2012年の全日本選手権フライ級準決勝で拳を交えたこともある2人がプロのリングで邂逅する(社会人の箕輪が高校2年生の和田に4回RSC勝ち)。

 箕輪は元WBO女子世界スーパーフライ級王者の奥田朋子(堺春木/41歳、8勝2KO5敗2分)と空位のWBO女子アジアパシフィック同級王座を争う。昨年3月、両者は後楽園ホールで対戦し、箕輪が8回判定勝ちも僅差2-0の微妙な判定で、決着をつける1年越しの再戦になる。

 長身167cmの奥田に対し、箕輪は159cmと身長差こそ8cmあるが、主戦場は近い距離の両者。箕輪は奥田の長い腕をかいくぐりながら出入りし、いかに決定打を打ち込めるか。奥田はリーチを生かして箕輪を前で止め、入り際にカウンターを合わせたい。元東洋太平洋女子フライ級王者でメキシコでの暫定戦を含む3度の世界挑戦も果たせなかった箕輪、世界王座返り咲きを目指す奥田、ともに負けられない8ラウンドの戦いは再び接戦となりそうだ。

今年4月2日、鳴り物入りでプロ転向した和田まどか 【写真:ボクシング・ビート】

 4月2日のプロ転向初戦を3回TKO勝ちで飾ったばかりの和田はデビューからわずか2カ月、2戦目でプロ初のタイトルを狙う。空位の東洋太平洋女子ミニマム級王座を争う相手はジュダーティップ・シティチェン(タイ/22歳、6勝4KO1敗)。2試合続けての来日で、前戦は元東洋太平洋女子ミニマム級王者で世界挑戦2度の葉月さな(白銀)と福岡で対戦し、痛烈なダウンを奪われ、4回TKO負けを喫している。

 サウスポーの和田はデビュー戦でスピードとテクニックを存分に見せつけたが、フィニッシュには納得のいかない表情だった。葉月が倒した相手をどう仕留めるか。3戦目で世界王座獲りを狙う和田には内容も求められる。

 WBO女子アジアパシフィック・アトム級王座決定戦、吉田里穂(RISE/21歳、4勝1分)と鵜川菜央(三迫/28歳、4勝)はジャブを軸に試合を組み立てる正統派同士、日本女子フライ級タイトルマッチ6回戦、王者でサウスポーの山家七恵(EBISU K’s BOX/32歳、6勝2KO1敗)と福家由布季(三迫/4勝2KO)は好戦派同士、日本女子バンタム級タイトルマッチ6回戦、元アマチュア全日本選手権覇者で王者の柳井妃奈実(真正/25歳、3勝1KO2敗)と古川のどか(北島/21歳、4勝)はパワーとスキルの戦いと色とりどり。イベントの模様は「BOXING RAISE」で後日配信される。

小林豪己の初防衛戦、山中竜也が再起

WBOアジアパシフィック・ミニマム級王者の小林豪己 【写真:ボクシング・ビート】

 6月23日、エディオンアリーナ大阪第2競技場では小林豪己(真正/25歳、7勝5KO1敗)が2度目のWBOアジアパシフィック・ミニマム級王座の初防衛戦に臨む。芦屋大出身の小林はプロ5戦目で同王座を獲得したものの、初回に2度のダウンを奪われた末の判定負けで、2度目の防衛戦で陥落。今年2月、金谷勇利(金子)との王座決定戦でベルト奪還を果たした。

 挑戦者でサウスポーのジョセフ・スマボン(比/22歳)は、2021年12月の6回戦デビューから6連勝(3KO)でチャンスをつかんだ。じわじわとプレスをかけ、機を見て打ち込むパンチには“ハンター”のニックネーム通りの威力が感じられる。左右に決定力のある小林とは緊張感あふれる展開になりそう。IBF7位、WBO9位、WBC10位と3団体で世界ランク入り。目標の世界に近づくためにも負けられない。

 セミファイナルでは元WBO世界ミニマム級王者の山中竜也(真正/29歳、19勝6KO4敗)が再起。硬膜下血腫で一度は引退も、ルール改正により2021年12月に復帰。昨年5月、WBOアジアパシフィック・ライトフライ級王座を獲得し、2階級制覇での世界王座返り咲きに前進したが、初防衛戦でまさかの2回TKO負けを喫し、ベルトを失った。プリワ・タオスワン(タイ/21歳、5勝3KO4敗)との6カ月ぶりの再起戦で再び一歩を踏み出す。イベントの模様は「U-NEXT」で第1試合開始からライブ配信される。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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