井端弘和 西尾典文著『日本野球の現在地、そして未来』

亜大の後輩・赤星らにも影響を与える井端の言葉「ヒントはアマチュア野球に」

井端弘和 西尾典文
アプリ限定

【写真は共同】

 U-12監督を経て2023年11月に開催された「アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」で見事優勝を果たした井端弘和。プロアマ野球界に精通し、新たな時代の日本野球のリーダーと目されている。

 そんな井端だが、「アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」でのチームマネージメント、采配で評価が急上昇。NPBはもちろんアマチュア野球界もくまなく視察して選び抜いたその「観察力の高さ」と「冷静な見極め」が、モチベーター型の前任者・栗山英樹とは違った職人的な指揮官として高い評価を得た。

 井端は選手の起用理由や采配を問われると淀みなく答えるが、それは選手に全幅の信頼を置く裏付けに確固たる信念があるからである。

 本著では井端氏に最も近くに寄り添うスポーツライターの西尾典文が、大会を振り返りとその裏付けを探り、2024年11月の「WBSCプレミア12」、2026年の次回WBCへ繋がる日本野球界のロードマップを提示していく。

 井端弘和 西尾典文著「日本野球の現在地、そして未来」から、一部抜粋して公開します。

社会人からさらに下のカテゴリーへ

 解説者、NTT東日本での臨時コーチを務めながら、井端はさらに活動の場を広げることとなる。2019年9月には『イバTV〜井端弘和公式チャンネル』を開設し、YouTuberとしての活動もスタート。そしてこのチャンネルでアシスタントを務めるお笑い芸人のみっちーが、福井県立鯖江高校の野球部出身という縁もあって、22年5月には同校の野球部員を指導している。また侍ジャパンのトップチームの監督に就任する前から、大学日本代表やU‒18侍ジャパンにも臨時コーチとして積極的に指導。自分が知らなかったという社会人野球にとどまらず、それ以外のカテゴリーにも指導の幅を広げているが、他のプロ野球OBに対してもそうすることを勧めているという。

井端「プロの選手を見ていても社会人の選手を見ていても、それまで教わってきたことや取り組んできたことが出るんですね。岡本のように守備については全く知識ゼロという選手は珍しい存在です。ただそれでうまくいっていた部分も当然あると思うんですけど、意外と基本的なことが身についていない部分が多い。そういうのはどこに原因があるのかなと思うと、どんどん下の年齢の選手のことも気になってきますよね。あとプロの選手を教えているだけでは気がつかないことが、アマチュアの選手を教えてみて分かることもいっぱいあります。だから引退した選手とか将来コーチを考えているという選手にも、『ヒントはアマチュア野球にいっぱい落ちているよ』と言うことはよくありますね」

 以前、井端と同じショートの名手として知られた鳥谷敬(元・阪神、ロッテ)とテレビ番組で共演した際のことだ。鳥谷も解説者を務める傍ら社会人野球のパナソニックでコーチを務めていることもあって、社会人に対する指導や選手の話に花が咲いていた。井端や鳥谷が指導者としてもさらに実績を残していけば、このようにプロを引退した直後の大物OBでもアマチュア野球の現場に活躍の場を求めるケースも増えてくるだろう。

 また井端と繋がりの強い人物では、赤星憲広(元・阪神)も指導者という形ではないものの、アマチュア野球に深くかかわっている大物OBの1人だ。赤星は亜細亜大で井端、飯塚の1学年下でプレーしており、YouTubeの『イバTV』でも3人で当時の話をしている回が放送されている。そんな赤星にも今回話を聞ける機会があったため、まずは飯塚と同様に亜細亜大での井端の印象について聞いた。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント