怪我から驚異的な回復を見せた“明治大のプリンス”宗山塁 さらなる進化を遂げて目指すは大学野球4冠
右肩甲骨骨折の怪我を負った宗山だったが、わずか5週間後には復帰して現在は定位置に戻っている 【写真提供:明治大学野球部】
侍トップチームに選出されていながら試合出場はお預けとなったが、「同じグラウンドレベルでトップチーム選手の生のプレーをみて感じることができたのがすごく大きかったです」と言い、守備では源田壮亮選手ら、打撃では近藤健介選手らに、いろんな話しを聞いた。一流の選手たちと行動を共にすることで、「それぞれの選手がやるべきことをしっかりやっていることを感じることができました」と収穫の大きさを口にする。
春季リーグ戦の出場は“絶望的”と言われ、間違いなく悔しいはず。だが、それでも前を向き、その後のオープン戦ではキャプテンとしてベンチの先頭に立って仲間や後輩を鼓舞。1年の春季リーグ戦からショートのポジションを守る宗山にとって、“ベンチ”は大学に入って初めてのことだが、「毎試合ベンチから見ることで、いろんな角度で気づけることもあったり、自分を見直すいい機会でもあるので、そこはポジティブに取り組めているかなと思います」。
宗山にとっては、逆境も、チャンスなのだ。
徹底した身体作りに垣間見える野球愛
宗山はここまでの3年間で現役最多のホームラン8本を打っている 【写真提供:明治大学野球部】
その一つが、小学5年生のとき、箸を持つ手を左に替えたこと。「父も広陵高校で野球をしていて、左打ちで、バッティングだけではなく、守備でも左手を使えた方がいいからということで。2~3カ月したら反対の手で使えるようになりましたね」とニッコリ。それが、守備にも、打撃にも生きている。
「ショートを守って試合でアウトをとる楽しさを感じて、もっとうまくなりたい、と常に考えていました」という広陵高校時代、「最初は源田さん(西武)や坂本勇人さん(巨人)、吉川尚輝さん(巨人)など、守備のうまい選手の映像を見て、自分の中の引き出しをいろいろ作って、そこから自分なりに落とし込んでいくことをしていました」と言う。引き出しがいっぱいできた今は、「誰かの映像を見るというよりは、自分の実際の試合での守備の映像をみて、もっとこうした方がいいんじゃないかな、と自分の感覚とすりあわせている段階です」。自分が描くベストのフィールディングに着々と近づけてきた宗山の守備は、「守備に関しては何も言うことがない」という、侍JAPAN・井端弘和監督の言葉がすべてを表している。
体が細かった宗山は、大学入学後、身体作りにも取り組んできた。「3食バランスよく食べるのもそう、間食も摂りながら体重の管理をするようにしています。体重が落ちてくるとパフォーマンスにすごく関わってくるので、タンパク質、ビタミンなどもそう、エネルギーになるお米など自分の身体に必要なものをしっかり取って、揚げ物や塩分が多いラーメンなどは控えるように。そこは特に意識してやっています」。
同じ商学部で行動を共にすることが多い浅利太門は「みんなでラーメンに行くってなっても宗山は行かないので、最近は自分たちが宗山に合わせるっていうか、合わせさせられています」と笑う。仲間をうまく巻き込んでいく宗山。「ちょっとの差かもしれないですけど、1日でも長く野球をやりたいので、そういうところから考えようかなって思ってやっています」
“ちょっとの差”ではない。体重は大学入学時から9キロも増え、パワーもアップ。ここまでの3年間で現役最多の8本ものホームランという数にも表れているなら、今回、骨折から驚異的な回復をみせていることも、ここまで“食”にこだわり、徹底した身体作りをしてきた宗山だからこそ、成せたことなのだろう。