明大の超逸材・宗山塁を球宴3回出場の名遊撃手が解説 打撃は高橋由、守備は今宮、早大時代の鳥谷より完成度は上

平尾類

宗山はリーグ通算打率が3割を大きく超え、本塁打も現役最多の8本放っているように、遊撃守備だけでなく、バッティングも大学球界トップレベルだ 【写真は共同】

 今秋ドラフトの超目玉と目される明治大の宗山塁。大学生のショートとしては稀に見る逸材と言われるが、この選手のどこがどう優れているのか。同じ東京六大学リーグの法政大で活躍し、プロ野球でもオールスターに3回出場するなど名遊撃手として鳴らした大引啓次氏に解説をお願いした。

足が格段速くないことが守備面でメリットに

「華がある上に堅実でミスがない」と大引氏が評した宗山の守備。ハンドリングの柔らかさと強肩を備えるだけでなく、しっかり足を使って捕球し、体全体で投げるからミスが少ないと分析する 【YOJI-GEN】

 大学球界で20年に1人の逸材――。

 今秋のドラフトで複数球団による争奪戦が確実視されているのが、明治大の宗山塁だ。名門大学で1年春から遊撃のレギュラーをつかみ、2年春に首位打者を獲得するなど3年まで通算70試合に出場し、打率.348、8本塁打、44打点をマーク。2月に右肩甲骨を骨折し、現在は復帰を目指しているところだが、その実力は攻守ともにアマチュア球界では抜きん出ている。

 宗山のすごさはどこにあるのか――。この逸材を細かく分析してくれたのが、かつて法政大で名遊撃手として鳴らした大引啓次氏だ。首位打者に2度輝くなど、東京六大学リーグ歴代5位の121安打を記録。六大学を代表する強打者として活躍した高橋由伸氏(慶應大→巨人)の119本、鳥谷敬氏(早稲田大→阪神など)の115安打を上回る。リーグ戦通算打率.331をマークし、プロ入り後はオリックス、日本ハム、ヤクルトで名遊撃手として活躍した。現在は日本体育大大学院でコーチング学を学ぶ傍ら、同大の臨時コーチとして精力的に指導している。

 大引氏は2022年にABEMAの東京六大学野球中継で解説を務めた際、当時2年生だった宗山のプレーを見て衝撃を受けたという。

「モノが違いましたね。当時、指導していた日体大には矢澤宏太(日本ハム)が4年生にいましたが、宗山選手は2年生の時点で、ドラフト1位で指名される水準に達していました。遊撃の守備で言えば、グラブさばき、ハンドリングがうまく、肩が強い。プレーに華がある一方、堅実でミスがない。プロに入るだけでなく、1年目から一軍のレギュラーとして通用すると感じました」

 侍ジャパンの井端弘和監督、球界屈指の遊撃手として知られる源田壮亮(西武)も、宗山の守備力を称賛している。大引氏は興味深い指摘をする。

「すごく足が速いかと言えばそうではない。でも、これがメリットになっているように感じます。足が速い選手は守備範囲が広いけど、動きが硬く、ボールと衝突するような捕り方になるケースが多いのでミスが出てしまう。川崎宗則さん(元ソフトバンクなど)、源田選手は足が速くて柔らかいですが稀なタイプです。宗山選手は足が格段に速くないからこそ、きっちり足を使って柔らかいハンドリングでミスをしない。肩が強いけど腕の力だけじゃなく、足を運んで体全体で投げるので、送球が安定しているし故障しにくい。体全体のバランスを操る能力が高いんでしょうね。今宮健太選手(ソフトバンク)とプレースタイルが重なります」

プロで20本塁打は打つ能力があるし首位打者も狙える

大引氏が守備にも増して評価するのが打撃だ。イメージが近い打者として、同じ東京六大学の慶大出身でもある元巨人の高橋由伸氏の名前を挙げる 【写真は共同】

 打撃も一級品だ。コンタクト能力で広角に弾き返し、パンチ力がある。

「守備能力の高さはフォーカスされますが、私がすごみを感じたのは打撃です。他の大学生と比べてもずば抜けている。ミスショットが少なく、粘って四球を選んだり、2ストライクアプローチも卓越している。イメージで近いのは高橋由伸さん。柔らかいスイングでミート能力が高くて打球が飛ぶ。直球に強いことも一流打者になれるポイントです。150キロを超える直球を投げる投手がプロにはゴロゴロいますが、宗山選手は荘司康誠投手(立教大→楽天)、ドラフト候補の篠木健太郎投手(法大)の速い球にきっちりアジャストできる。プロで20本塁打は打つ能力を持っているし、将来的には首位打者を狙えると思います」

 大引氏は法大で1年春から遊撃のレギュラーで活躍し、2年春以降にベストナインに5度選出されている。その大引氏が1年の春と秋に、遊撃のベストナインに輝いたのが、当時早大4年の鳥谷氏だった。「神宮球場で試合前の打撃練習を見た時、鳥谷さんはしなやかなスイングで打球が右翼スタンドにポンポン吸い込まれていく。次元が違いましたね」と振り返る。

 宗山は鳥谷氏と同じ右投げ左打ちの遊撃手で重なる部分がある。どう感じるだろうか。

「欠点の少なさで言えば宗山選手のほうが上かもしれない。共通しているのは、勝負強さです。ここで打ってほしいという場面で期待に応える」と評価する。

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著者プロフィール

1980年4月10日、神奈川県横浜市生まれ。スポーツ新聞に勤務していた当時はDeNA、巨人、ヤクルト、西武の担当記者を歴任。現在はライター、アスリートのマネジメント業などの活動をしている。

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