大岩ジャパン、パリ五輪アジア最終予選はこう戦え! 中国、UAE、韓国の攻略法&キープレーヤー
平河や山田らがUAEの両SBを押し込めるか
UAE戦でポイントになりそうなのが、サイドの攻防だ。A代表歴もある相手SBの出足を、この平河(20)ら日本のサイドアタッカーがどこまで抑え込めるか 【Photo by Masashi Hara/Getty Images】
チームの特徴は縦に速い攻撃で、とりわけA代表歴のある両サイドバック(SB)、右のザイード・スルタンと左のバーダー・アブドゥラジズのスピードを生かしたサイドアタックは要警戒だ。UAEとは22年のU-23アジアカップの初戦で顔を合わせており、パリ五輪世代で臨んだ日本に対して向こうは2歳上のU-23世代のチームで参戦。互いに技術力を前面に押し出すサッカーでぶつかり合ったが、ボール保持率で上回った日本がチャンスを確実にモノにして、2-1の接戦を制している。
サッカーのスタイル的には、UAEとの相性は決して悪くない。中盤の山本や藤田らを起点に、いかに素早くサイドに展開できるか、そしてボールを受けたサイドアタッカーがスピード豊かな相手の両SBを押し込み、その攻撃力を削げるかどうかが勝負のカギを握る。
したがってポイントとなるのは、縦突破とカットインを織り交ぜた仕掛けが強烈な平河悠(町田)、高精度の左足が魅力で、プレースキッカーとしても優秀な山田楓喜(東京V)、フィジカルの強さを押し出して局面を打開する佐藤ら、ワイドに構えるタレントたちの出来だろう。
韓国戦のカギを握る2人のアタッカー
韓国で要警戒は、昨年のU-20ワールドカップでフランスからもゴールを奪った長身FWイ・ヨンジュンだ。この基準点へのパスの出どころを、まずは潰したい 【Photo by Buda Mendes - FIFA/FIFA via Getty Images】
それでも、韓国にとって五輪は特別な大会だ。本大会でメダルを獲得できれば兵役免除となるだけに、仮に日本戦までにグループステージ突破が決まっていなければ、それこそ死に物狂いで立ち向かってくるに違いない。
ただ、たとえ突破が決まっていたとしても、A組の1、2位と対戦する準々決勝を見据え、1位抜けを目指して全力で挑んでくる可能性がある。開催国のカタールがA組を首位通過する公算が高いからだ。完全アウェーの準々決勝を避けたいのは日本も同様。おそらく、単なる消化試合にはならないだろう。
日本の戦い方は、韓国の出方次第で大きく変わってくる。なにより、大型選手のパワーを前面に押し出すようなサッカーをされると厄介だ。特に警戒したいのが、190センチの巨漢FWイ・ヨンジュン。昨年5月のU-20ワールドカップでも2ゴールを挙げてチームの4位躍進に貢献したストライカーを基準点にラフな攻撃を仕掛けてきた場合、日本が苦手なシチュエーションに追い込まれる可能性が高い。
そうした状況を避けるためにも、藤田、松木、川崎颯太(京都)といった守備力に優れた選手でトライアングルを形成して中盤を制圧し、まずは前線へのパス供給源を断つ必要があるだろう。
逆に22年のU-23アジアカップで対戦した際と同じく(準々決勝/3-0で日本が勝利)、韓国が丁寧にボールをつなぐサッカーを選択した場合は、日本に追い風が吹く。ハイプレスがハマりやすいのはもちろん、日本も比較的余裕を持って最終ラインからビルドアップができるはずだからだ。細かくボールを動かしながら、隙を見て攻撃のスイッチを入れる縦パスを前線に打ち込むことで、自分たちの土俵に持ち込みたい。
そこでカギを握るのが、FW細谷真大(柏)とFW荒木遼太郎(FC東京)だ。前者は動き出しに秀でるだけでなく、当たり負けしない身体の強さも併せ持つ。屈強な韓国DF陣と対等に渡り合えるストライカーだけに、巧みにボールを引き出して多くのシュートチャンスを生み出したい。
一方の後者は、今季のJ1で6戦5発と絶好調。限られたスペースの中でもわずかな隙を縫って決定的なパスを繰り出し、自らもフィニッシャーとなれる。アジリティを生かした仕掛けも武器で、大柄なDFからすれば実に守りづらいアタッカーだ。
前に強い韓国ディフェンスを攻略し、高いボールポゼッションを確実にゴールに結びつけるためにも、アタッキングサードでプレゼンスを発揮する両者のパフォーマンスに期待したい。
いずれにせよ、泣いても笑ってもこのアジアカップですべてが決まる。立ち上げから2年強。「A代表経由パリ五輪」を掲げて強化を進めてきた大岩ジャパンに敗北は許されない。
「アジアの中にも様々な対戦相手がいるので、それぞれの国の特徴、戦術を分析した上で、われわれの強みを発揮し、相手(の強み)を消しながら、1試合、1試合を戦っていきたい」
そう語る指揮官のもと、23人のメンバーの力を集結してタフでシビアな戦いを乗り切り、なんとしても8大会連続の五輪出場権を勝ち取ってもらいたい。
(企画・編集/YOJI-GEN)