侍ジャパン再始動! WBC連覇へ、その未来を占う

侍ジャパン入りが期待できるアマ球界の逸材10人 未来のスター候補はドラフト指名選手だけではない

西尾典文

数年以内に侍ジャパンのトップチームに入る可能性を秘めたアマ球界の逸材たち。識者が選んだ10人の顔ぶれは? 【写真は共同】

 今年3月のワールドベースボールクラシック(WBC)で、3大会ぶり3度目となる優勝を果たした侍ジャパン。10月には新監督として井端弘和氏が就任し、新たなスタートを切っている。2026年春の開催が予定されている次回のWBC、そして野球競技の復活が決まった2028年ロサンゼルス五輪に向けて新戦力の台頭が必要不可欠だが、今回は今年のドラフトで指名された選手も含めて、アマチュア球界から特に期待が大きい「未来の侍ジャパン候補」を10人ピックアップして紹介する。

常廣羽也斗(投手/青山学院大4年→広島D1位)

まだ線が細いものの、プロ1年目から先発ローテーションに入ると見る専門家は多い。同じ大分県出身の先輩・森下に続けるか 【写真は共同】

 今年のドラフトで、広島が真っ先に1位指名を公表して引き当てた大学生ナンバーワン右腕。鞭のようにしなる強くて柔らかい腕の振りから投げ込むストレートはコンスタントに150キロを超え、高めも低めも威力は申し分ない。140キロを超えるスピードでブレーキ鋭く落ちるフォークも必殺の決め球で、他にも多彩な変化球を操る。

 先発であれば森下暢仁、抑えであれば栗林良吏と、広島で先輩となる両選手と同等のクラスの投手になれるポテンシャルを秘めており、リーグを代表する右腕になれる素材だ。

前田悠伍(投手/大阪桐蔭3年→ソフトバンクD1位)

大学生投手の実力者が目白押しだった今年のドラフトで、2回目の入札とはいえ3球団が競合。高校生とは思えないほど完成度が高い 【写真は共同】

 ドラフトでは1度目の1位入札で指名はなかったものの、2度目の入札で3球団が競合した高校生ナンバーワン投手。大阪桐蔭では1年秋から主戦となり、明治神宮大会連覇、選抜高校野球優勝、U-18W杯優勝など華々しい実績を残した。

 完成度の高いフォームから繰り出すボールはどの球種も精度が高く、特にブレーキ抜群のチェンジアップは魔球と呼べるだけの威力がある。ボールの力以上に素晴らしいのが投球術で、「勝てる投手」というのが最大の魅力だ。宮城大弥(オリックス)のように早くから一軍、そして侍ジャパンの主戦となることも十分考えられる。

進藤勇也(捕手/上武大4年→日本ハムD2位)

ドラフト1位を予想する声もあった強肩強打のキャッチャー。確固たる正捕手がいない日本ハムでは1年目からチャンスがありそうだ 【YOJI-GEN】

 抜群のディフェンス力を誇る大学生ナンバーワンキャッチャー。筑陽学園時代からスローイングには光るものがあったが、大学でスピードが増し、キャッチング、ブロッキングなども着実にレベルアップした印象を受ける。3年時から大学日本代表でも正捕手を務めており、あらゆる投手をリードしてきた経験も強み。打撃も調子の波はあるものの、軽々とスタンドまで運ぶパワーは魅力だ。

 プロでも即戦力として見込める選手であり、近い将来、侍ジャパンの正捕手になれる可能性も秘めている。

度会隆輝(内野手兼外野手/ENEOS→DeNA D1位)

ドラフトでは3球団が1位入札。高校、社会人を通じて過ごした神奈川の地で、スター街道を突き進めるか 【写真は共同】

 ヤクルトでユーティリティプレーヤーとして活躍した度会博文氏を父に持つ左の強打者。横浜高時代から天才的なバットコントロールで話題となっていたが、社会人の3年間でスケールアップを果たし、ドラフトの野手の目玉へと成長した。昨年の都市対抗では4本塁打を放つ活躍でENEOSの優勝に大きく貢献。今年も厳しいマークのなかでしっかりと結果を残している。

 センター中心に長打を放ち、積極的な走塁、内野も外野も守れる守備も魅力だ。明るいキャラクターで、チームのムードメーカーとしても期待できるだろう。

佐々木麟太郎(一塁手/花巻東3年→米国の大学に進学予定)

高校1年時から話題をさらった怪物スラッガー。類稀な才能をアメリカで全面開花させ、大きく羽ばたいてほしいものだ 【写真は共同】

 規格外の長打力を誇る高校ナンバーワンスラッガー。アメリカの大学への進学を目指してプロ志望届を提出しなかったが、プロを志望していれば1位で指名された可能性は高い。高校通算140本塁打という数字はもちろん、ヘッドスピードと打球の速さはとても高校生とは思えないレベルにあり、スイングに柔らかさがあるのも特長だ。

 現時点で進学先は未定だが、打者としてのポテンシャルの高さは圧倒的なものがあるだけに、メジャーで通用するスラッガーになる可能性も十分あるだろう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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