『パワーユニット×車体の開発傾向』から今季のF1勢力図を予測する

柴田久仁夫(auto sport)

レッドブルグループ

1)レッドブルRB20=独自進化型

 昨年22戦21勝と圧倒的強さを誇ったRB19。当然今季マシンはその流れを踏襲するだろうという大方の予想を裏切り、RB20は完全な独自進化を遂げた。あたかもメルセデスの2年前のゼロポッドのようなサイドポンツーン。よく見ると縦長のスリットに加えて、前方裏側に細い横型の開口部があることが分かる。ここから入った空気は、RB19のような単一ラジエーターではなく、V字形に配置されたふたつのラジエーターに供給される。さらにハロの付け根にも開口部が設けられ、車体中段の高いデッキにつながるなど、その形状はユニークという他ない。そしてこれだけ大胆なコンセプト変更にも関わらず、レッドブルは今季も選手権首位を独走している。

勝利を重ねていたフェルスタッペンが、ブレーキトラブルによりオーストラリアGPをリタイアで終えた。それでも「さらに強くなって鈴鹿に戻ってくる」と自信は揺るがない 【Red Bull Content Pool】

2)RB VCARB01=折衷型

 RBはアルファタウリ時代の昨年終盤にRB19のリヤサスを搭載し、今季はフロントもレッドブルタイプのプルロッドに変更した。さらに空力開発はレッドブルと同じ英国ミルトンキーンズで行われていることもあり、VCARB01のデザインはRB19にどこよりも類似していると考えるのが普通だ。確かに受け口形状のエアインテークはいかにもRB19だが、サイドポンツーン自体の形状は独自開発した昨年のAT04を継承している。あまりにレッドブルに似過ぎれば、ライバルチームからコピーマシンだと訴えられる恐れがある。それを避けるための措置と考えるのは、うがち過ぎか。

フェルスタッペンにアクシデント発生というチャンスを逃さず、オーストラリアGPで角田が7位入賞。この流れを絶やさず、鈴鹿でも活躍してくれることを期待したい 【Red Bull Content Pool】

ルノーグループ

1)アルピーヌA524=追随型

 チーム代表の更迭をはじめ、主要スタッフの離脱で大揺れだった昨年のアルピーヌ。選手権もアストンマーティンに2倍以上の大差をつけられての6位に終わり、マシン戦闘力回復が急務だった。昨年のA523から引き継いだのはステアリングだけというほどの完全再設計。確かにエアインテークは細く高い位置に置かれ、サイドポンツーンも大きく絞り込まれるなど、RB19のトレンドをしっかり取り入れた。しかしルノー製PUは依然として非力で、車体も『軽量化を目指した』はずが、規定最低重量を10kg以上超えていると言われる。成績も開幕3戦を終えてノーポイントで最下位に沈んでいる。

ピエール・ガスリー、エステバン・オコンともにポジティブさを失わずに走り続けているだけに、ふたりが楽しみにする鈴鹿での奮闘を願わずにはいられない 【Pirelli】

2/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント